第87回テーマ館「タイムスリップ」



探偵はよくすべる cinos [2013/08/04 06:42:24]


大富豪が屋敷で殺された。

容疑者は家人たち。

そこに現れた名探偵は関係者を事件現場に集めた。

「さて、これから私が犯人を指摘しますって、してき〜。すてき〜」

その場に白けたムードが漂った。

そのムードをふりはらうように大富豪の妻が言った。

「なんで現場に集めたの。いくらなんでも狭すぎよ」

大富豪が殺されたのは、大富豪の部屋に隣接する浴室だった。

そこに家人・使用人含めて19人、警部1人、刑事3人、そしてでっぷり太った名探偵1人、

計24人がぎゅうぎゅうづめで立っている。

「まるでマルクス兄弟の映画のようで、笑えマルクス、くすくす」と名探偵。

その場では誰もくすりともしなかった。

「とにかく早くしてください」と長男。

「いやあ〜、もう少しなんですよ、アンデスよ、マチュ・ピチュ遺跡」

誰もが唖然とした顔で名探偵を見た。

「もうちょっと、マチュピチュね」

「さむ〜」ついに大富豪の娘が叫んだ。

「サムと言えば、TRF!おお、キター」

名探偵は一瞬白目を剥いたが、すぐに正気に戻った。

そして

「おお、見えた。犯人はあなたです」と、大富豪の妻を指差した。

「ば、ばか言わないでよ。何を証拠に」

「彼が言うなら、あなたが犯人です」と警部が断言した。

「な、なんで」
「過去に戻って、あなたが殺したのを見たんですよ」と名探偵は言った。

「は、意味わかんない」

「彼はすべりまくりの発言で過去にタイムスリップして

殺人を見てくるタイムスリップ名探偵なんです」と警部は真面目な顔で言った。


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