「謳うことができるまで」 by なぎぃ もう夢を追いかけるのは私だけになっており 後ろに何人の人がいるのかは私には知る由もなく 遠ざかるまわりくどい出口に向かっている それは走っているのだろうか、歩いているのだろうか 進んでいるのだろうか、後退しているのだろうか 私には分かるはずもなく ただ夢という名の出口目指して向かっているだけ いつまでそれが続くかは私には分からず ただ耳が痛くなるような夜は私を嘲笑い 私は少なからず恐怖心を覚えた 声をかけるものはいない 私はただ向かうだけ どこからか祭りの音が聞こえる 母は娘の髪を結ぶ 娘は待ちきれないように身悶えする ……神輿が見えた。 私はただ向かうだけ 今見えた母や娘の顔を思い浮かべ そして目には涙を浮かべて 出口はまだ遠くにある 私は少しだけ足を止める 何回振り向いただろう そのたびに私はやるせない絶望を覚えた 何の到達感もないその風景 空虚。 (投稿日:09月13日(日)10時36分02秒)