「振り向かない女」 by はなぶさ
背中に視線を感じながら、私は振り返ることはない。いつもならそうだった。
でも、でもその時の視線は私を動かした。それが彼との初めての出会いだった。
彼との付き合いはそれから長く続いた。しかし、私は彼が私を見つめていた訳
を聞くことはなかった。何故か、それが恐かったからだ。
二人で迎えた朝、何気なく聞いてしまった。私はそれを聞いたとたんに、胸が
高鳴った。答えなくてもいい。私の質問なんか無視してください。そう思った
が、遅かった。
「私を見てって、張り紙が背中に。いたずらだろうね。」
私はベッドに倒れこみ、脱力感に身を任せた。そして、妙な安堵感に私は包ま
れた。
(投稿日:09月20日(日)13時35分37秒)