『テーマ館』 第22回テーマ「振り向けば」



 「Re遊牧家族さん」   by ゆびきゅ

「振り返る」by遊牧家族

      僕には小さな頃から特異な思想、というか想像の産物が脳のヘゲヘゲのとこにこびりついて
      ます。それは、「僕は何度も死んでいる」というものです。
      家に帰ります。誰もいません。ドアを開けます。ガタッという音がします。
      =泥棒がいます。ドアの向こうに隠れています。僕の腹に包丁を刺します。
      寝ています。ガタッという音がします。
      =泥棒がいます。ドアの向こうに隠れています。僕の腹に包丁を刺します。
      といった、完全に想像力の飛翔、というか放浪の末の産物から、
      ドライブ中、突然目前に迫った停車中の大型トラックを間一髪でよけた、つまり間一髪で生
      き伸びた、というものまで、どうにもこうにも、僕がここまで生き延びていること自体、不
      思議でならないのです。振り返ると、そこには何もなく、別の世界に死んだ僕と、泣き悲し
      む家族がいる。
      つまり、「僕は何度も死んでいる」。そして死ぬ度に、違う世界に飛ばされている、という
      空想の道標をおっ立てたわけです。
      もちろん、そんな偶然で現実世界は成り立っている、とか、所詮”人間”の世界での出来事、
      そして空想だ、とかいろいろ納得を阻害する考えは出てきますが、僕はこの空想を、脳のヘ
      ゲヘゲのところで遊ばせ続けることでしょう。

「それですよ!ゆびきゅさん」by遊牧家族


(投稿日:09月23日(水)02時48分41秒)