「風」 by はなぶさ 木々の色はまだ緑なのに秋の気配だけが私を包む。なぜだか分からない風が私 に向かって吹き続ける。前に進もうともがけばもがくほど、風が強くなるのよ うな気になってしまう。それならいっそ、回れ右をして歩けばどうだろうか。 人って死ぬまで、風を感じて生きていくのだろうか。この風は私を疲れさせる。 追い風なんて、この世にあるのだろうか。私はいつも風の吹く方向に向いてい ないのだろうか。それは私の歩く方向が間違っていると言われるかも知れない。 他の人は何を感じて、風に吹かれるのだろう。こんなことを聞いても誰も答え てくれやしないだろう。 力まずに少しだけ振り返れば、開けた風景が見えて、私を風が連れていってく れるのかも知れないが。 そんな気持ちで秋分の日の町を歩く。 (投稿日:09月23日(水)23時42分36秒)