『テーマ館』 第17回テーマ「3つのお願い」
「城の中の蛙」 by ゆびきゅ
遠いむかしのことだ。
たいそう深い森の中の城に、器量よしの姫がいた。だが姫は、自分の美しさに満足していなかった。
「鏡よ鏡よ鏡さん、私がこの国で一番美しいことは分かってるわ」
「ああそうだとも。お前が一番美しい」
「でも世界にはもっと美しい方がいらっしゃるに違いないわ。ねえ、鏡さん。私を世界一の美女にしてくださいな」
一瞬、姫の目がくらむほどの眩い光が鏡から発せられ、姫の美貌に一段の磨きがかかった。
「まあ、鏡さん、ありがとう」
翌日
「ねえ、鏡。私が世界で一番美しいことは分かってる。当然のことね」
「ああそうだとも。お前が...あなたが一番美しいです」
「でも、宇宙では、そうもいかないんじゃない?ねえ?」
「...わかりました」
ピカ!姫の美貌は、もうこの上ないほどのものになった。
「わかればいいのよ」
ところが、道行く姫とすれ違うのは、素っ頓狂な悲鳴や限界にまで開かれた驚きのまなこ。王は
姫の姿を見た途端、卒倒してしまった。王室の鏡に映った姫の姿は、タコの足のようなものが2本
尻から生え、絞られた雑きんのような形の腕を宙浮かせた猛禽類を思わせた。
「ねえ、鏡様。鏡様ぁ」
(投稿者:03月21日(土)23時35分54秒)