第75回テーマ館「夢の終わり」



クリスマスプレゼント cinos [2009/12/24 06:22:34]


 クリスマス数日前に小学生の息子が
 「クリスマスプレゼント、ジグソーパズルがほしいんだ」と私に耳打ちした。
 私の息子はサンタクロースの存在をいまだに信じている。
 去年はネットで購入した外国の子ども向けのボードゲームを枕元に置いた。
 すると
 「お父さんもお母さんも外国に行けないのに外国のゲームがプレゼントされた。
だからサンタはいるんだよ」と私の母に力説していた。
 私は「サンタはいる」ということを子どもに信じてほしいから、その様子を見てとても
うれしかった。
 去年のことを思い出してにやけながらも私は
 「そうか、サンタさんが持ってきてくれたらいいな」と息子に言った。

 妻と私は共働きで、忙しくてすれ違いが多く、なかなか話す時間が取れない。
 それでもやっとクリスマスイブの朝に、妻が
 「翔、クリスマスプレゼントでほしいもの言ってたよ」と言ったので
 「大丈夫、もう買ってあるよ」と答えた。
 共働きなので息子のこともほったらかしになりがちだが、私たちは私の母と同居してい
るので、母は何かと息子のことを面倒みてくれて助かっている。
 母からも「翔、なんかプレゼントがどうこう言ってたよ」と聞かされて、「大丈夫」と
答えた。
 クリスマスイブの夜、息子が寝入ってから私は息子の枕元にパズルを置いた。
 その時息子が寝返りをうったので、私はビックリしたが、大丈夫だった。

 クリスマスの朝、息子がジグソーパズルを抱えてやってきた。
 「お父さん、サンタからのプレゼントだよ」
 「おお、よかったな」と私は笑うと、妻も朝食の準備をしながら
 「翔くん、よかったね」と笑った。
 息子もにんまりすると
 「でもサンタってお父さんだよね」と言った。
 「え、違うし」
 「だって僕、お父さんにはジグソーパズル、お母さんにはハリーポッター、
お祖母ちゃんにはぬいぐるみをほしいって言ったんだ。
サンタさんに送った手紙にはガンプラって書いたし。
プレゼントはジグソーパズルだったから、サンタはお父さんだったんだ」
 「QED」と私はつぶやいた。



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