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『聴覚障害』誌1999年11月号掲載
『電子ブック「手話」』筑波大学附属聾学校長・筑波大学教授
斎藤佐和
【著 者】たかね・きゃら
【監 修】竹村 茂
【発 売】平成11年4月15日
【本 体】2,980円+税
【動作環境】 Macintosh & Windows対応
【企画・制作】廣済堂印刷株式会社マルチメディア事業部
【発売・発行】廣済堂出版
ISBN4−331−25192−6 c2804 ¥2980E
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たかね・きゃらさんによる手話の入門書(いずれも廣済堂新書)は5冊あります。私がよく知っているのは、著者と同名の「きゃら」という小学6年生の女の子を主人公とした『手でともだち』『やさしい手話・手でともだちPart2』で、イラストも作者の手になり、小学生だった頃の著者の体験をもとにしているだけに実感がこもり、優しい画面からも事実の重みが伝わります。耳の聞こえない「きゃらが健聴の小学生の中で健気に生きていく姿に感動しながら、学校生活で使われる手話 を自然に覚えるという意味で、私たちにとって格好の手話入門書になっています。
聴覚障害の「愛ちゃん」を主人公にしたマンガの『手話で伝えたい』シリーズは,「まんがキャンパス物語」が大学生活,「オフィス編」が社会生活をテーマとしていて、それぞれの生活の場の生きた手話を学ぶ構成になっています。
もう1冊は手話学習のカリキュラムをやさしい入門書の形にした『手話で話そう』ですが、この『手話で話そう』が電子ブックになりました。
電子ブックは8cmのCDを入れて使うコンパクトな小さな装置です。本と違うのは、検索が簡単に素早くできることや音声や簡単な動画も扱うことができることで、手話を扱うのに適した媒体だといえるでしょう。この『電子ブック「手話」』は、その特徴をよく生かして、本とはまた違った便利な利用の仕方を教えてくれます。
電子ブックソフトにパソコンで再生するソフトもついていますので、電子ブックを持っていなくても、MacintoshやWindows95/98のパソコンがあれば、大きなパソコンの画面を使って手軽に楽しく利用することができます。
内容は大きく2つに分かれています。
単語編では、手話の成り立ちや特徴から、手話の単語一つひとつを楽しく学べるように構成されています。本を読むように順番に見ていくこともできますし、電子ブックの簡単な操作を利用して、知りたい単語を調べて、動画で見ることもできます。日常生活でひんぱんに使用する基本単語・約500語が入っています。
会話編では、耳の聞こえない未来(みらい)ちゃんと,未来ちゃんに魅せられて一生懸命手話を覚えようとする大(まさる)くんの二人の主人公による、生き生きとした会話文・約70センテンスの手話表現を、画像と音声による連続再生で学ぶことができます。
本のカバーに「電子ブックだから、
1.より早くより解りやすく手話を覚えることができます。
2.複雑な手の動きも、かんたんなボタン操作で一目瞭然です。
3.何度も何度もくりかえし手の動きを独習できます。
4.どこにでも持ち運びできます。」
とある通り、いろいろな使い方のできる新しい手話学習ツールの一つだと言えます。
イラストでは手の動きがよく分からない、ビデオでは見たい手話を探すのが大変と思っている方にお薦めしたいと思います。
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