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最近は,ちょっとした手話ブームだそうです。この夏TBS系で「愛していると言ってくれ」というテレビドラマが放映され,これがまた手話ブームに火を付けたということです。 “トヨエツ”‥……ご存知でしょうか。ご存知ない方はトレンドとは言えません(私も知りませんでしたが)。“豊川悦司”(トヨエツ)主演の聴覚障害の新進画家をめぐる恋愛ドラマが,とくに若い女性に大人気で,7月以降書店には手話の本を求める人が大勢押しかけているそうです。こうした手話ブーム現象の中で、“たかね・きゃら”という人格をもったキャラクター(髪の長い美人のお姉さん)が登場して,手話を一緒に学べる本書が出版されたことは,まことにグッドタイミングといえるでしょう。 (1)従来の多くの手話の本は,作者が手話を絵で表して,読者に解説するという形をとっていますが,本書はキャラクター(きゃら)自身が,手話を学ぼうとする読者に語りかけ,手話を伝えていくという形をとっています。本の構成は,絵で登場するキャラクターが,春麦秋冬の毎日の学校生活で起きる事柄を素材に,手話を読者と共に学んでいくというストーリーになっています。 例えば,冬の章では「今年の冬はあたたかいのでスキーはだいじょうぶかな?」という文が,キャラクターによって分かりやすく手話表現され解説されます。読者は,親しくキャラクターとコミュニケーションしているうちに,自然に手話を学んでいけるようになっています。 (2)本書は,「毎日小学生新聞」に2年間にわたって連載されたものを,一冊の本にまとめたものです。手話は約600語が紹介されています。小学生を対象としていますが,中学生以上の初心者やご両親,関係者で初歩から手話を学びたいという方々には,イラストも明快で,親しみやすいものとなっています。「ページごとにキャラクターの服装が,全部違っているのがいい」という読者の反応が寄せられているそうです。こうした点にも,本書の工夫が窺えます。 (3)“たかね・きゃら”……ご存知でしょうか。ご存知ない方はトレンドとは言えません(私も知りませんでしたが)。たかね・きゃらは,この本の著者で,キャラクターの名前ではありますが,ペンネームで、本名は平川美穂子さんです。附属聾学校で小学部の中途まで学び,公立の学校を経て,筑波大学に入学し,大学院の心身障害学研究科を修了,教育学博士を取得しています。 現在は,富士通勤務で,聴覚障害者用のスピーチ・トレーナーの開発を手掛け,最近はパソコンによる手話学習ソフト“手にことばを”を開発し,11月末にはソフトが発売される予定です。またまた,手話ブームに火が付くかもしれません。 さて,こうした関係で本書の紹介をしましたが,交流教育も盛んになりつつある折りでもあり,手話に関心のある多くの方々に,ぜひ本書をお薦めします。 |
『聴覚障害』誌 1995年11月号掲載 |
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廣済堂出版 |
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