電磁波雑考
 

    周波数と波長の関係
    光の走行時間と距離の関係
    光子のエネルギー
    水素原子のスペクトル系列
 
 
 



* 周波数と波長の関係

振動数ν(Hz)の電磁波の波長λ(m)は、真空中の光速を c = 2.99792458E+08m/sec として、

    λ=c/ν

よりおよそ  λ(km) =300/ν(Khz) 
あるいは    λ(m)   =300/ν(Mhz) 
あるいは     λ(mm)=300/ν(Ghz) 
あるいは     λ(μm)=300/ν(Thz) 
あるいは     λ(nm) =300/ν(Phz) 
 

典型的な周波数における波長は、
 
名称 周波数 波長 備考
低周波 1KHz(103Hz) 300km 音声
中波 1MHz(106Hz) 300m(=0.3km≒1000feet) AMラジオ放送
超短波(VHF) 100MHz(108Hz) 300cm(=3m) FM,テレビ放送
マイクロ波 1GHz(109Hz) 300mm(=0.3m=30cm) 携帯電話、電子レンジ
サブミリ波(遠赤外線) 1THz(1012Hz) 300μm(=0.3mm) 赤外線こたつ
可視光線 800〜400THz 0.38〜0.77μm 紫、青、緑、黄色、橙、赤
紫外線 1PetaHz(1015Hz) 300nm(=0.3μm) 半導体露光装置(参考2)

(参考)
 光ファイバー通信によく用いられる1.5μmの波長帯は、ほぼ200THzの周波数帯で、この波長帯では1THzがほぼ7.5nmに当たる
(参考2)
 半導体露光装置に用いられている、g線は 436nm、i 線は 365nm の紫外線(超高圧水銀ランプで発生)
 0.15μプロセスに用いられるKrFエキシマレーザーは波長248nm、ArFエキシマレーザーは193nm、F2エキシマレーザーの波長は157nm
(参考3)
真空紫外線の波長は200〜30 nm(6 eV〜40 eV),
軟X線は30〜0.8 nm(40 eV〜1.5 keV),
硬X線は0.8〜0.01 nm(1.5 keV〜120 keV)が一応の目安(境界ははっきりしていない)
 軟X線の波長領域を30〜0.2 nmとするときもあり, 真空紫外線に軟X線を含めて200〜0.2 nmとするときもある。
また,原子核反応や,素粒子どうしの結合(例えば陽電子消滅)によって生ずる硬X線をg線と呼び,X線と区別する習慣がある。



* 光の走行時間と距離の関係

周波数の逆数は振動周期であるから、上記の表で周波数をその逆数である周期(時間)に、波長を距離に置き換えると、光(光速)を単位とした、時間と距離の関係となる。
これを例えば、1光秒(=2.99792458E+08m≒30万km)と表現する。時間を分、時、日、年などに延ばせば、天文学的距離を表現することもできる。
 
 
名称 光時間の距離 距離
1光年(3x107秒) 9.46兆km(≒63000AU(天文単位)
1光日(86400秒) 259億km(=173AU)
1光秒(1秒) 30万km
低周波 1m光秒(10-3秒) 300km
中波 1μ光秒(10-6秒) 300m
マイクロ波 1n光秒(10-9秒) 300mm(=30cm)
サブミリ波 1p光秒(10-12秒) 300μm(=0.3mm)
紫外線 1フェムト光秒(10-15秒) 300nm(=0.3μm)

 



* 光子のエネルギー

1eV(電子ボルト、エレクトロンボルト)の光子の波長は、e=hν、 λ=c/νより、

λ=c/(e/h)=ch/e=2.99792458E+08 x 6.626176E-34/1.6021892E-19 = 12.39841E-7 = 1.24 μm(赤外線)

可視光線の波長範囲が、0.38〜0.77μmであるから、3.3〜1.6eV
(青緑ぐらいの色で、0.5μの波長(600THz)、2.5eVほどのエネルギーを持つ光量子)

1eV=1.60E-19J(電子の素電荷)であるから、1J=6.24E18eVほどになり、可視光を構成する光子の平均エネルギーが2eVとして、
実効光出力1W(ワット)の光源からは、約3x10^18個/秒ほどの光子が放出されていることになる。
 

ウィーンの変位則から、絶対温度T(K)の黒体輻射のピーク波長はおよそ

λpeak=hc/(5kT)=2.99792458E+08 x 6.626176E-34/(5x1.380662E-23xT) = 2.877572E-03/T

すなわち

λpeak ≒ 3000/T (μm)

であるから、太陽の表面温度を約6000Kとして λpeak ≒  0.5μm −> 2.5 eV
(概算であるが、より正確に計算しても、2877/5800=0.49ほどで、ピーク波長としては正確なはず、
 実際の太陽光の色は黄緑ぐらいの感じであるのは、スペクトルのすそ野が長波長側に引いており、全体のエネルギーとしてはより長波長にシフトしているためか?)
 
 



* 水素原子のスペクトル系列

水素の基底準位が、13.599eVであるから、波長に換算すると、λ0 = 0.09117μm = 911.7Å(ライマン系列の極限波長、真空紫外線領域)

スペクトル系列の波長は、対応する光子のエネルギーが主量子数で決まる準位間のエネルギーの差であるから、

                λ0 
   λn,m = −−−−−−−−−   (n=1,2,...、m=n+1,n+2,...)
            1/n2 − 1/m2
 

水素の第2順位から基底順位への遷移により放出される光(ライマンα線)の波長は、上記よりλ0の1/(1/12−1/22)=4/3倍であるから、

Lα = 911.7x4/3 = 1215.6Å

同様にライマンβは、1/(1/12−1/32)=9/8倍して、1025.7Å

ライマン系列は紫外線領域であるが、n=2のバルマー系列は、可視領域にある。

バルマーα Hα=911.7/(1/2^2-1/3^2)=911.7x36/5=6564.2Å(赤色光)
        Hβ=911.7/(1/2^2-1/4^2)=911.7x16/3=4862.5 Å(青緑色光)
        Hγ=911.7/(1/2^2-1/5^2)=911.7x100/21=4341.5 Å(青色光)
        Hδ=911.7/(1/2^2-1/6^2)=911.7x9/2=4102.72Å(青紫色光)
        H∞=911.7/(1/2^2-0)=911.7x4=3646.9Å(近紫外線)
 
 

参考

プランクの輻射公式
    8πhν3      1
ρν=-----------   ----------------
     c3      hν/kT −1 

リュードベリの定数
       2π2μe4 
  R = −−−−
        ch3

但しμ=mM/(m+M) m:電子の質量、M:原子核の質量