ラグランジュ点の計算

5つあるラグランジュ点のうちの、直線解L1、L2、L3のおよその位置を求めてみる。

1

 大質量M1の周りを半径Rで円軌道運動する小質量M1を考えた場合、そのL1にある質点の質量をmとおき、
m<<M2<<M1  として、 M2の軌道中心はM1にあると仮定して、
各質点の位置、距離、速度を下図のようにおく。

                                ↑ VM2
                        ↑ Vm     |
                        |       |
    ●--------------------------・---------○
   M1                   m      M2
    :                    :<-- x --->:
    :                            :
    :<---------------  R  --------------->:

1にある質量mに働くM1、M2からの引力は、

   FM1=GM1m/(R−x)2
   FM2=GM2m/x2

質点M2、mの速度は、

   VM2=√(GM1/R)
   Vm=(R−x)/R・VM2

1では、ケプラー軌道速度の不足分をM2からの引力が補っていると見ることもできる。
質点mに働く引力と上記速度による遠心力の力の釣り合いの方程式は、

   FM1 − FM2 = m・Vm2/(R−x)      ・・・(1)

各値を代入して整理すれば、
   M12 − M2(1−x)2  = M1(1−x)3・x2
但し、x/Rをxと置き換えてある。(R=1に正規化)

更に、M2/M1=μとおいて、
   x2 − μ(1−x)2  = (1−x)3・x2

5次方程式であるので代数的解は望み薄であるが、μ≒0の近傍に於ける近似解を考えてみる。
上記方程式をμについて解けば、

   μ=x2{1−(1−x)3}/(1−x)2
    =x3{x2−3x+3}/(1−x)2


x → +0の近傍では、μ → 3x3 であるから、

   x≒3√(μ/3)      ・・・(2)

 例えば太陽−地球系のμ≒1/33万であるから、
3√(μ/3)≒1/100で、1/100AU≒150万km となり、現実のL1の位置にほぼ相当している。
 同様に太陽−木星系(μ≒1/1000)では、3√(μ/3)≒0.069で、5000万km強の所になる。




2

2の外側のL2にある質点mの力の釣り合いの方程式は、xを負の値として考えれば各成分の大きさは(数式上)L1と変わらず、M2の引力の方向が反対になるから、

   FM1 + FM2 = m・Vm2/(R−x)      ・・・(1)’

1の場合と同様に、μ≒0の近傍に於ける近似解を考えて上記方程式をμについて解けば、

   μ=−x2{1−(1−x)3}/(1−x)2
    =−x3{x2−3x+3}/(1−x)2


x → +0の近傍では、μ → −3x3 であるから、

   x≒−3√(μ/3)      ・・・(2)

xはL1の方向を正にとったので、L2はM2を中心にしてL1の反対側(軌道の外側)に同じ距離だけ離れた所にあることになる。



3

 L3は、M1を中心としてM2のちょうど反対側の点(対蹠点)の少し外側にあり、およそ2R離れたM2からの引力が、超過の軌道速度による遠心力と概略バランスしている点である。
(従って、そのずれの量xはL1やL2における値より、小さいはずである。)
2の対蹠点からのずれをxとして、L2のときと同様に考えると、

1にある質量mに働くM1、M2からの引力は、

   FM1=GM1m/(R+x)2
   FM2=GM2m/(2R+x)2

質点M2の対蹠点、およびmの速度は、

   VM2=√(GM1/R)
   Vm=(R+x)/R・VM2

質点mの力の釣り合いの方程式は、

   FM1 + FM2 = m・Vm2/(R+x)      ・・・(1)’’

1のときと同様に、各値を代入して整理すれば、
   M1(2+x)2 + M2(1+x)2  = M1(1+x)3・(2+x)2
但し、x/Rをxと置き換えてある。
更に、M2/M1=μとおいて、
   (2+x)2 + μ(1+x)2  = (1+x)3・(2+x)2

μについて解けば、

   μ={(1+x)3−1}・(2+x)2/(1+x)2
    =x・(x2+3x+3)(2+x)2/(1+x)2


x → +0の近傍では、μ →12x であるから、

   x≒μ/12      ・・・(2)’’

μ=0の近傍では、μ自身はμの三乗根に比べてはるかに小さいので (例えばμ=0.001(1/1000)のとき、3√μ=0.1(1/10))、 L1やL2と対比した場合、L3は、ほとんどM2の対蹠点にあると言って良いと考えられる。
(但し、xが質量比μと同じオーダで小さいので、L1やL2の時は結果的に無視できた、M1と軌道中心(重心)のずれが効いてくるため、上記の結果は定数倍の誤差を含むようである。)




参考

http://pathfind.motion.ne.jp/laglange.htm
http://www.ne.jp/asahi/tokyo/nkgw/gakusyu/rikigaku/Lagrange/Lagrange.pdf
http://www.ki.rim.or.jp/~kuro/Lagrangian/