太陽系システムの概観

 1.地球
 2.
 3.太陽
 4.水星
 5.金星
 6.火星
 7.小惑星帯
 8.木星
 9.土星
10.天王星
11.海王星
12.冥王星

(参考)
太陽系の諸元
 
 
 
 



 1.地球

  まづ、身近なところで、足下の地球から始めてみよう。
地球(Earth)は見ての通り(いつも見てないとは言わせない)、半径約6300km(直径12500km)のほぼ球体で、固相、液相の鉄、ニッケルを主成分とした内核、外核を中心として、カンラン岩を主体としたマントルがその周囲を囲み、その表面を暖めた牛乳の表面にできる薄皮の様に、玄武岩、花崗岩などからなる地殻が覆い、マントル対流に引きづられてプレートテクトニクスを起こしている。
 地表には大量の液体及び固体の水(H2O)が存在し、窒素のほか生物圏より放出された酸素を主成分とする1気圧の大気と共に、多種多様な生物が生存するのに適度な気候となっている。
上記の成分構成と、重力による圧密効果により、地球の平均密度は、太陽系天体の中でおそらく最大の5.5g/cm^3に達する。
地球質量はおよそ60垓トン(垓=10^20) 、体積は丁度ほぼ1兆km^3の程度であるから、地球を仮に立方体に変形すれば(もちろんこの様な変形は、地球自身の重力のため不可能であるが)、1辺が1万kmのサイコロとなる。
 地球の自転周期は約1日、公転周期は1年(365.24日)であって、半径1億5000万km(1AU≒500光秒)のほぼ円軌道を描いて太陽の周りを公転している。
地球の自転軸は公転面(黄道面)に対して約23.4度傾いているため、1年には季節変化が存在する。
地球の公転面(黄道面)は、ほぼ太陽系の力学的基準面(ほば木星の公転面に等しい)に等しい。

 2.
 月(Moon)は、地球の唯一の天然の衛星であって、地球の約1/4の大きさ(半径1700km)で、地球から38万kmのところを約1月(27.3日)で公転している。
月の自転周期は地球による潮汐作用の結果、公転周期に1対1で同期しており、秤動による影響を除けば地球に対して常に同じ月面を向けている。
逆に月による地球に対する潮汐効果は、地球の自転速度を減速しており、その反作用によって、月の公転軌道半径はわづかづつであるが増大している。
地球の約1/4の大きさから体積は約1/64となるが、平均密度が3.3g/cm^3と地球より低いので、月の質量は地球の約1/80ほどである。
このことは月の核が地球に比べ相対的に小さいことを意味しており、月の成因を原始地球と他の原始惑星の衝突破片が集積したものとする、Giant Impact説の根拠の一つとなっている。
 月はまた、地球以外の太陽系天体で唯一人類が直接探査した天体である。Apllo11(1969)-17

 3.太陽
他の惑星にゆく前に、母なる太陽を先にすることとする。
 太陽(Sun)は、誕生から約45億年経過した、スペクトル型G2の平均的な主系列の恒星である。
半径約70万km(地球の111倍)、体積にして111^3=136万倍あるが、水素とヘリウムのガスを主体とする恒星であるため、平均密度は地球の1/4以下の1.3g/cm^3であって、太陽質量は地球の約33万倍(100万/3倍、2x10^27トン)である。
太陽表面温度は約6000K(5800℃)で、可視光(黄緑)にスペクトルのピークがあるが、核融合反応が起こっている中心部の温度は約1600万Kに達しており、発生したエネルギーは放射エネルギーとしてγ線の形で散乱、再放射を繰り返しながら数十万年かかって、太陽表面下10万kmの対流層まで達し、そこから対流により太陽表面に輸送される。
導電体である電離プラズマによる対流はダイナモ効果により磁力線を発生し、その一部が太陽表面からはみ出した部分は、磁力線の圧力(磁気圧)がプラズマの温度による圧力の一部をキャンセルするため、周囲の太陽表面より相対的に低温となり黒点として観測される。
黒点に反映される太陽活動は約11年の周期をもち、西暦2000年の現在、その極大期を迎えつつあるところである。
太陽の周囲には、希薄であるがきわめて高温(150万K)のプラズマガスが一種の太陽大気として取り巻いており、コロナと呼ばれる。
その温度による圧力は太陽重力を振り切って常に周囲にコロナガスが流出しており、これは太陽風として地球軌道を遙かにこえて、推定50〜100AUの太陽圏を構成している。
 太陽活動は、磁気嵐などにより現代社会における無線通信などにも影響があるため、科学的な目的だけでなく実用上の目的もあり地球低軌道上には多数の太陽観測衛星が活動中であるが、近年地球から150万kmほど太陽に近い太陽−地球系重力平衡点(L1ラグランジェ点)に、SOHO、ACEなどの太陽観測衛星が打ち上げられ、常時太陽活動を監視することが可能となっている。
 また、太陽圏の構造を黄道面からではなく、太陽の極地方高緯度の方向から観測するために、木星フライバイを利用して高軌道傾斜角の軌道を飛行するUlyssesもユニークな太陽探査機である。

 4.水星
 水星(Mercury)は太陽に一番近い惑星であり、半径2440km(地球半径の1/3強)でありながら地球質量の1/18ほどの質量を有しており、平均密度は5.4g/cm3に達する。
相対的に地球よりも軽い水星の質量が、地球におけるほどの圧密効果を生じないこと考慮すれば、このことは水星の核が異常に大きい(水星半径の3/4を占める)ことを意味しており、種々の成因が考えられている。
公転周期は89日(約3ヶ月)で年に4回ほど太陽の周りを公転することになるが、地球も同方向に公転するため会合周期は116日であり、地球からの水星の見かけの位置は年3回ほどの周期で太陽の前後に変化することになる。
公転軌道長半径は、0.38AU =5800万km であるが、離心率が惑星にしては0.2と大きい楕円軌道であるため、太陽からの距離は4800万km〜7000万kmの範囲で変動し、軌道傾斜角も7°もあるため、地球からの水星の視位置、見かけの大きさは各会合周期毎に異なるが、太陽からの最大離bヘ30°を越えることはない。
水星の自転周期は、59日であって、公転周期の2/3に同期している。つまり楕円軌道を描く水星の各近日点において、水星の表面は1回毎に交互に反対側の面を太陽に向けることになる。
過去に水星を観測した探査機は、Mariner 10(1973、2回のフライバイ) のみである。

 5.金星
 金星(Venus)は、大きさ、質量の点では地球に非常に類似した天体で、半径6050km(≒RE)、質量0.8ME=49垓ton、平均密度5.2g/cm3であって、太陽から0.72AU=1億km強のところを、223日=7.3月で公転している。
 しかしながら金星大気の主成分は90 気圧にも達する二酸化炭素(CO2)であり、その温室効果により金星の表面温度は735K(460℃)にも達する過酷な環境である上に、大気上層には、濃硫酸ミストからなる濃い雲が存在し、金星表面の光学観測を不可能としている。
しかし、過去ソ連を中心とする十数機の探査機(Venera4-14, Vega1,2等)が軟着陸に成功しており、過酷な環境のため短期間ではあるが地表面を直接観測しており、また米国のMagellanなどによるレーダ探査の結果、地表面のかなり詳細な地形図なども得られている。
 それらの結果を総合すると、金星には地球のようなプレートテクトニクスは存在しないものの、いまなお活発な火成活動が存在し、火山から噴出した硫黄が濃硫酸ミストの雲を構成する原料となっていると推定されている。

 6.火星
 火星(Mars)の大きさは地球の約半分(半径3400km)であるが、平均密度は3.9g/cm3と地球より低いため、質量は地球の約1/10強(=6.4垓ton)である。
1.52AU(=2.3億km)と地球より5割ほど太陽から離れたところを、2年弱(1.88年)で公転している。自転周期はほぼ1日で、地軸の黄道面に対する傾斜角も地球とほぼ同じ25度ほどであるため、平均気温210K,(−70℃)で6.5hpの CO2の大気ではあるが、真夏の赤道直下では0℃を越えることもあり、ドライアイスないし水の氷でできた極冠が季節により消長したり、所により日によっては薄いもや、雲が発生したり、砂漠地帯に大砂嵐や一種の竜巻が発生することもあるなど、かなり多様な気候の変化が存在することが判明している。
 地質的には現在活動が確認されているものはないが、太陽系最大の火山であるオリンポス山をはじめ、アキレス、パニボス、アクシアの巨大な盾状火山を有するタルシスバルジとその南のマリネリス峡谷、更には過去における豊富な液体の水の存在を示唆する様々な浸食地形などの変化に富んだ地表面を有している。
火星探査の歴史は、Mariner 4(1965)のフライバイに始まり、Mariner 9(1972)の火星軌道周回、Viking1,2号の着陸船による地表面実地探査、最近ではMPF(Mars Path Finder)の着陸とローバによる探査が行われ、現在もMGS(Mars Global Surveyor)による周回軌道からの精密探査が続いている。
 
7.小惑星帯
 火星軌道と木星軌道の間、2〜3AUのところには通常の惑星は存在しないが、質量にして最大でも地球質量の1/5000以下、大きさにして半径500km以下のいわゆる小惑星(Asteroid)が多数存在し、確認されているものだけでも1万個以上に達する。
 主なものはその発見順に、1 Ceres、2 Pallas、3 Juno、4 Vesta であるが、最大のCeresでも、直径900km強、平均密度は2〜3g/cm3程度で、太陽系創成時におそらく木星の強大な重力圏による摂動の結果、原始微惑星からの集積過程の途中で進化が止まった原始惑星ないしその分裂破片と見られている。
 上記主要小惑星については地上ないし宇宙望遠鏡(HST)による遠隔観測しか行われていないが、近年木星探査機Galileoが木星に向かう途上、243 Ida,951 Gaspraのフライバイ観測を行い、また小惑星探査機NEARは253 Mathildeのフライバイ観測の後、433 Erosの周回軌道に入り、30〜50kmの近距離からの観測を継続しており、低重力小惑星の特異な地勢、地質構造を明らかにしつつある。 
 

8.木星
 木星(Jupiter)は、地球の約11倍の大きさ(赤道半径71500km=RJ)をもち、地球質量の約300倍(317.8ME、太陽の約1/1000)を有する巨大なガス惑星であり、太陽から8億km弱(5.2AU)のところを周期約12年(干支の1周期と同じ、正確には11.8年)で公転している。
 木星を構成するガスの主成分は太陽と同じ水素とヘリウムであり、その割合も太陽とほぼ同様(質量比で3:1)で平均密度(1.3g/cm^3)も近いが、その質量は内部で核融合を起こすには遙かに足りないため、表層部は低温(165K前後)であって、木星大気の対流により発生したアンモニア等からなる雲が高速な自転(自転周期9.8時間)によるコリオリ力で赤道方向に筋をなして流れている。
 また木星大気の流れは巨大な渦も巻いており、その最大のものは「大赤斑」として300年以上前から永続しており、地球からも観測されている。
 木星内部の構造は、主成分である水素の高温高圧における物性が正確には知られていないため推測の域を出ないが、ある深さ以下では極度の高圧により水素が金属化するため、高速な自転によるダイナモ効果で木星は強力な磁気圏を有しており、木星の極地方にはオーロラが観測されている。
 過去にはPioneer 10(1973), Pioneer 11, Voyager1,2, Ulyssesの5探査機がフライバイ観測を行っているが、現在NASAの探査機Galileoが木星周回軌道上にあり、既に4年以上に渡り木星本体およびその衛星の観測を継続している。

(木星の4大衛星)
 上記Voyager1,2およびGalileoによる探査の結果、木星の4大衛星(ガリレオが最初に発見したのでガリレオ衛星とも言う)のユニークな特徴が明らかになってきている。

8.1 イオ
 イオ(Io、アイオーとも発音される)は、木星4大衛星の内、最内側の軌道にあり、他の3衛星と異なり岩石質の組成で半径1820km(地球の月よりやや大きい)、地球質量の約1/70(月よりやや重い)で、5.9RJのところを 1.77日の周期で公転している。
木星の強大な重力場による潮汐効果でIoは内部から加熱されており、その結果火山活動が太陽系一盛んで、多数の活火山から硫黄ないし珪酸塩の溶岩流が流出し、二酸化硫黄の噴煙が噴き揚がっているのが観測されている。
表面に堆積したこれらの硫黄、二酸化硫黄によりIoは、黄色〜赤褐色のまだら模様の異様な外観を呈する星となっている。
また、イオの重力圏から脱出したこれらのガスの一部はイオン化して、イオの公転軌道面上にトーラス状に広がっているのがNASAの探査機Galileoにより観測されている。

8.2 エウロパ
 エウロパ(Europa)は、4大衛星の内最小であるが、半径1565km(地球の月より小さい)、地球質量の約1/125(月の2/3)で、9.4RJのところを 3.55日の周期(Ioの周期の丁度2倍の共鳴関係にある)で公転している。
 Ioと異なり、岩石質の核と、水の氷の表面を持つ、氷衛星である。Ioほどではないが潮汐加熱はEuropaにも作用しており、内部には液体の水が存在する可能性も指摘されている。
この点は、氷の表面に無数に存在するマスクメロンのようなひび割れ、地球の極地に見られる分裂した氷山のような地形、衝突クレータがきわめて少ない若い地形からも裏付けられている。
A.C.クラークのSFにあるような動植物はともかく、液体の水が存在すれば生命の存在の可能性も高まるものとして実地探査が期待されるところである。

8.3 ガニメデ
 ガニメデ(Ganymede)は、4大衛星の内最大であるのみならず衛星としては太陽系一の大きさで、半径2600km(水星より大きい)、地球質量の約1/125(月の2/3)で、15.1RJのところを 7.55日の周期(ほぼ一週間、Europaの周期の丁度2倍の共鳴関係)で公転している。
 Europa(エウロパ)同様、岩石質の核と、氷のマントル、地殻表面を持つ、氷衛星である。(平均密度1.94g/cm^3)

8.4 カリスト
カリスト(Callisto)は、最外側の軌道にある木星4大衛星であり、16.7日ほどの周期で木星の周りを公転しており、Ganymedeにつぐ大きさで半径2400km強(水星とほぼ同じ)、平均密度1.86g/cm^3ほどの氷衛星である。
その氷の地殻の表面は多数の衝突クレータで覆われ、最も古いのは40億年前の物と推定されており、長期に渡り地質活動は停止しているものと見られている。
 

9.土星
 土星(Saturn)は、木星に次ぐ太陽系第2のガス惑星であり、10.5時間という高速な自転速度のため赤道半径60000km(9.5R)、極半径54000km(8.5R)の扁平な形状をしており、太陽から14億km(=9.5AU)のところを、30年弱の周期で公転している。
土星の質量は地球質量の95倍(木星の1/3弱)に達するが、その大きさ(木星の8割強)のため密度は0.7g/cm^3(木星の約半分)にすぎず、冗談で水に浮くといわれるほどである。
土星の表面には木星と同様な縞模様がみられ、渦も観測されているが、土星大気を構成するガスの組成は木星に比べヘリウムが欠乏しており、土星内部の条件によりヘリウムが水素中に凝結し液滴となって落下する結果と推測されている。(この液滴の落下により開放される重力エネルギーが、観測される土星内部からのエネルギー源の一部となっているとも考えられる。)
過去、Pioneer 11, Voyager1,2の3探査機が訪れているが、2002年現在、NASAとESA(欧州宇宙機構)の共同探査機、カッシニ(Cassini)が土星に向け飛行中であり、2004年には到着して、土星系の周回観測を開始する予定である。

9.1 土星の環
 地球からの望遠鏡による観測に於いて、土星を最も特徴づけているのは、その環(ring)システムであろう。現代の深宇宙探査機により土星以外の外惑星にも環システムが存在することが判明しているものの、依然として土星の環は、その規模、外観からして土星の最大の特徴の一つである。
土星の環はガリレオの昔からその存在が知られていたが、その正しい幾何学的構造を理解したのはホイヘンスが最初であると言われている。
 Pioneer10, 11, Voyager1,2による観測をも総合すれば、土星の環システムは、密度の大小はあるものの、大きさが1センチメートルから数 メートルにわたる小さな塊(おそらく氷乃至岩石)が同心円上に多数配列したレコード盤状の構造であり、その内周はほぼ土星大気圏の上端に接し、外周は羊飼い衛星と呼ばれるいくつかの小衛星を含む衛星の公転軌道を越えて、50万km(8RS)近くまで延びている。
但し光学観測により認識される明るい環は、A環、B環が主で、土星の赤道半径にして1.5〜2程の範囲に分布する。
環を構成する同心円領域の中には、衛星との重力的共鳴関係によりほとんど粒子が存在しない領域(間隙、ギャップ)が存在し、地球からの望遠鏡観測によりその存在が判明していたものには、その発見者の名前が付されている。(カッシニ、エンケの間隙)

9.2 タイタン
 タイタン(Titan)は、土星系最大の衛星であるのみならず、太陽系全体でも木星のガニメデに次ぐ大きさ(半径2570km、厚い大気層を含めれば、ほとんど大気のないガニメデより大きい)で、水星、冥王星より大きい。
タイタンは、太陽系の衛星では唯一、大気を有しており、その主成分は窒素からなり、アルゴン、メタンも含み、大気圧は地表面で1.5気圧にも達する。
大気中にはメタンなどが光化学反応を起こして生成された有機物質がスモック状に浮遊して、雲を構成するため、地表面の直接光学的観測は困難である。
2004年に土星に到達するカッシニ探査機は、タイタンに降下するプローブ(ホイヘンス)を搭載しており、その観測結果が待たれる。
 
 

10.天王星
 天王星(Uranus)は古代から知られた5惑星(地球は除く)に加えて、近代の科学的観測により発見された最初の惑星であり、発見者はWilliam Herschelで、1781年のことであった。(それ以前にも観測例はあったが惑星としては認識されていなかった)
 木星、土星と同様なガス惑星であるが、はるかに質量、大きさとも小さく、質量は地球の15倍弱(木星の1/20以下、土星の約1/6)、半径は25600km(地球の4倍)で、太陽より20天文単位ほどのところを85年弱の周期で公転している。
太陽系生成の理論よりガス惑星は、地球質量の10倍程度の岩石+氷のコアを元に生成したと推定されているので、このクラスのガス惑星ではコアを取り巻く大気は超高圧とはいえ内部までガス状態であると推定される。
 天王星の大きな特徴の一つは自転軸の傾きであり、公転面に対してほとんど平行な自転軸で、横倒しといっても良いほどの感じで自転しており、その衛星系も天王星の公転面に垂直な天王星の赤道面内を公転している。
どうしてそのような自転軸の傾きを持つに至ったかは大きな謎である。
 現在までに天王星を訪れた探査機はVoyager-2 1機のみ(1986)であるが、近年ハッブル宇宙望遠鏡などにより継続観測が行われている。
他のガス惑星に比べると表面の様子は変化に乏しいが、画像処理により強調された写真には、極を中心に回転する気流に乗って変化する雲とおぼしき模様が見られる。
 

11.海王星
 天王星の発見以降、その観測される軌道が天体力学的に予想されるものとあわないことが徐々に明らかになってきた。
この軌道のずれは天王星の外側にある未知の惑星による摂動であると考えたイギリスのアダムスとフランスのルヴェリエはその位置を別々に推定し、それを受けたベルリン天文台のガレが、1846年に予報位置近くで8等級の海王星(Neptune)を発見した。
 海王星(Neptune)は天王星とよく似たガス惑星であり、質量は天王星よりやや大きく17地球質量、その分重力的に圧縮されて大きさは天王星よりやや小さく、半径24800km、太陽から30天文単位のところを周期165年(天王星の周期のほぼ2倍)で公転している。
 海王星の大気は水素、ヘリウムのほか2%ほどのメタンを含み、メタンが赤色光を吸収するので、海王星はその名にふさわしい青色をして見える。
大気上層には、白い雲の他、大きな黒い部分(大暗斑)もみられ、16時間という高速自転により生成するジェット気流に乗って流れているのが観測されている。

11.1 トリトン
 海王星最大の衛星であるトリトン(Triton)は、半径1350 km 程で、海王星から  35.5 万kmの所を6 日弱で公転している。
その特徴の一つは、衛星の公転方向が、母惑星である海王星の自転と逆の方向であることであり、両者の間に働く潮汐力によりトリトンの軌道半径は次第に小さくなり、1億年後には海王星に衝突するか、潮汐力で引き裂かれて分裂すると予想されている。

 地球の30倍以上太陽から遠いところにあるため、太陽からの放射エネルギーは地球に於けるそれの1000分の1程であり、表面の高いアルベド(光反射率)と相まって、トリトンの表面は38K(零下235度)という極低温で、水はおろかメタン、 窒素、二酸化炭素はみな凍って固体になっていると推定される。
それにも関わらず、トリトンはごく薄い大気を持ち(0.01mb程、主成分は昇華した窒素)、氷の火山から噴出した液体窒素が微結晶の噴煙となり8kmほどの高さでたなびいているのを、Voyager2が観測している。
トリトンの自転軸の傾きは天王星の状況に近く、ほとんど海王星の軌道面に平行となっており、激しい季節変化がもたらすメタン、窒素等の氷の融解、最凝結の繰り返しにより、トリトンの表面にはマスクメロンのような模様をなす、峡谷、山脈が形成されている。
 

12.冥王星
 冥王星(Pluto)は太陽系最外縁の惑星であり、未だ探査機による観測も行われたことがない未踏の世界である。
その半径は1200 km弱 (地球の約5分の1、地球の月や木星の4大衛星、土星のタイタン、海王星のトリトンなどよりも小さい)、質量は地球の1/400以下である。
太陽からの平均距離はほぼ40天文単位(AU)であるが、離心率の大きな(約0.25)楕円軌道であり太陽からの距離は30〜50AUの範囲で変動するため、一時的に海王星軌道の内側に来ることもある(1979〜1999までそうであった)が、海王星とは3:2の共鳴関係にあり、軌道面傾斜角の大きい(17°)ことも手伝って、海王星と接近、衝突の可能性はない。
公転周期は248年なので、1930年の発見(トンボーによる)以来、未だ軌道の1/3程しか追跡されていないことになる。

12.1 カロン
 地上からの光学観測では大気の揺らぎによる分解能の制約があるため、冥王星に衛星があることが発見されたのは1978年になってからであった。(発見当時の写真では、冥王星に角が生えているようにしか見えない。)
この衛星カロン(Charon)は、およそ半径600kmほどで母惑星である冥王星の半分近くあり、衛星と言うには不釣り合いな大きさで、連惑星系というのが近い。両者は平均19640 km離れており、6.39日の周期で、互いに同じ半球面を向けたまま公転している。(自転周期と公転周期が一致(同期)している)