ある時鳴った電話


 少々古い話(先月末くらいか?)になるが、悪徳商法の話なのでアル。


 会社で相変わらず暇していたある日の午前11時頃のこと、外線で私宛の電話があった。出てみると、「ITI研究所の某」と名乗る彼は、かくの如き物語りを始めた...



 我々は、あなたの個人情報の載っているリストを持っている。(訊いてみたら、名前、住所、年齢、勤め先、銀行口座は正確だった。)これは、ある電話勧誘商法を行う通信教育会社から借りてきている個人情報ファイルで、あなたの情報を含む数千人の情報がこうした会社数百社に出まわっていることが分かっていると言う。
 我々はある調査のためにこうした名簿を借り出しているのであるが、もうすぐ返さねばならない約束になっており、そうすると、あなたのところにまた勧誘の電話がかかるものと思われる。我々としては、彼ら業者にこの者に対する電話勧誘をしないように、と書いた弁護士連名の書面を発行し、それを郵送する措置を講じることが出来る。本来、こうした書面を作成し、数百社に送付するのには、280万円もの大金が必要なのであるが、今、この名簿に載っている数千人から希望者を募ってまとめて実施するつもりなので、あなたは十分の一の28万円を負担するだけでやってあげることができる。(もちろん、ローンも可(笑))どうしますか、と。




 この話には、明らかに胡散臭い部分がいくつかある。先ず、調査会社が、通信教育会社の名簿を借り出して何かやっているというのが怪しい。「弁護士連名の書類」なるものがもっと怪しい。まして、その書類のサンプルを私に見せることは出来ないと言う。(確か、あるお客さんがそのサンプルをコピーして、独自に業者に送付したことがあって、その者が業者から業務妨害としてクレームされたのだという。この理由の説明もオカシイ。)弁護士の名前なるものも明かさない。大体、たくさんの人を纏めてやるので、マスディスカウントがある、という話が変すぎる。


 もちろん、「そんな話に興味はない。必要があれば、知人の弁護士・検事を頼るので、」と返事してこの話は終わりなのであるが、さらに念の為、本当に同期の弁護士を通じて調べたところ、最近の流行りのやつだ、ということであった。


 何故か私のところにはこの手の話が多いので(どこかで情報が売られているのでしょう...まして20年以上も同じところに住んでいるわけだし。)、適当にあしらうついでに手口の勉強もしているのであるが、この手の何か被害に遭わないためのサービス提供、というのが最近は多いとのこと。別口でインターネットを使って仕入れた情報によると、売り込みは比較的警戒されているので、この手のに移行してきているらしい。



 もちろん、私はひっかかっていないわけだから、被害もなく(会社で30分弱サボっていたから、会社に損害はかけたかもしれないが(^^;)この話は終わりのはずなのだが、実は、さらに後日談がある。



 その電話があってしばらくして、こんな面白い娯楽をこの欄で提供しないわけにはいかない、と思っていたある日、私は休暇を取って家にいた。
 夕方に鳴った一本の電話。こいつは、私の名前を読むことができなかった。フリガナはなかったらしい。(笑)


 今度の電話の主は、「NIN日本情報の某」と名乗る。同じような物語を始めたので、一言だけ機先を制することにした。


 「あの〜、すみませんが、こちらから電話しますので電話番号を教えていただけませんか?」
 「えっ、かけなおしてくださるんですか?」
 「はい、私の友人の弁護士と検事が、この話に興味があるそうで、ぜひお話させていただきたいらしいんですよ。」
 「結構です。」ガチャ・・・

 

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