今回は、読書感想にはそぐわないですね〜。
この本もまた、私のサークルの14年上の先輩、9期の藤原弁護士の手になる本です。
インターネットの法律問題に詳しい数名の手によるこの本は、1997年秋の発売ですので、扱われている問題の中には、今でも解決の進んでいないものもあり、そんなに古びた感じを受けるものではありません。まぁ、私が法律実務を1年離れているからそう思っているだけかもしれないですけどね。(^^;
藤原さんは、かつて(?)大きな問題になった、ニフティサーブにおけるフォーラムでの名誉毀損問題が裁判になった際に原告側代理人を務めたこともあり、インターネット法律問題関連の本を何冊か出版しています。(私はこれともう1冊持ってますが、他にもあるようです。)
中身は、
などについて、法的問題の検討を行い、インターネットに法的網をいかにかぶせるか論じているわけです。
帯に「インターネットを無法地帯にするな!」と書いて有るわけですが、未だにインターネットに関する法体系が整備されているとは言えず、一方で盗聴法などインターネットに網をかけるべく新しい法律が思想を確立しないまま成立している状況は、あまりいいものとは言えないでしょう。
インターネットは「無法」なのか?今は確かにそうでしょう。薬事法で規制されているはずの品が売られてたりしますし、個人情報は簡単に剥き出しにされ、各種の掲示板・チャットでは誹謗中傷の類が見られることは珍しくありません。
相手の顔が見えない気安さが、「自分がやってることもどうせ見つかりっこない」という気分を生じさせて犯罪を誘発し、コンピュータとデジタル技術が著作権を守れなくし、電子商取引が、今まで無かった取引形態になって行く事によって、取引に伴うトラブルが一気に世界的規模のものになったり、セキュリティの保護や国内法の適用を複雑なものにしたりしているわけで、この「混沌」をどうするか、は関係者が早急に解決しなければならない問題なんだなぁ、と本を読みつつ思った次第。
でも、混沌が怖いから、と逃げているようでは新しい世界は開けないので、積極的に問題の解決を図る態度が必要なのでしょうが、今回の混沌は世界的規模であるし、かなり広範囲の協力とコンセンサスが必要になるでしょう。一体、いかなる主体が主導権を持って法的整備を図るのか、ここから問題解決を考えなければならない、ってところにこの問題の根深さを見る気がしますね。
しかし...インターネットって、この規制がうまくいかないことに業を煮やした各国政府によって世界的連結を断たれたり、不法行為の横行に疲れた人々に見捨てられるってことはもう起きないんですかね〜。世界が全てネットワーク化されるまでインターネットは巨大化する、というのは本当に既定の路線なんでしょうか???
どうやって秩序を確保し、安心できるインターネット世界にするか、ちょっとづつ前進していくようなやり方で進んで行くことになるんでしょうね。
「サイバースペースと法規制」 藤原 宏高 編
日本経済新聞社 ¥2,500+税
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