喜多方 酒蔵めぐり

ここは喜多方、蒼々とした水田が広がる。米といえば酒。福島は酒造りが盛んで、清酒出荷量は全国6位だという。とりわけ会津や喜多方には酒蔵が多い。それじゃ酒蔵めぐりますか!


蔵の町喜多方、実に2000戸以上もの蔵があるという。醸造蔵や蔵座敷、蔵構えの店鋪などさまざま。町をぶらぶらしてるだけでも独特な雰囲気が楽しい。

最初に訪れたのは小原酒造の酒蔵。今年特選街という雑誌で、蔵粋(クラシック)というシリーズの酒が評価の高かった酒蔵である。とにかく暖簾をくぐり、蔵を見学させてもらえるか聞いてみた。連絡無しに飛び込んだのだが、快くOKをいただいた。案内に従い奥へ通される。軒先に下がるのは歴年の杉玉。杉玉というのは、酒蔵が「今年の新酒ができましたよ!」というしるしで店先に下げるものだ。

小原酒造

歴年の杉玉

さっそく中をのぞかせてもらう。(こしき:米を蒸す蒸し器)、麹室(こうじむろ:麹をつくる部屋)、(ふね:日本酒を搾る道具)など日本酒造りにかかせない道具が並んでいる。今は仕込みの時期ではないので静かな蔵内だが、発酵タンクが並ぶ部屋に進むと、何やら音が聞こえてくる? ピアノ? それぞれのタンクの上にスピーカーが据え付けられている。ここではタンクの発酵中の(もろみ:米、麹、水、酵母を混ぜたもの)にモーツァルトを聞かせるのだという。酒は生き物だ。モーツァルトを聞いて元気に発酵し、旨い酒になるのだとか。そういえば以前似たようなものを見たことがある。鹿児島の焼酎蔵で貯蔵タンクにスピーカーをつけていたなぁ‥‥。さてこれで酒は旨くなるのか? そんなこと飲んでみなけりゃわからない。そいじゃ飲んでみますか!

タンクの上にスピーカー

発酵タンク

蔵の片隅の利き酒コーナー。コーヒーサーバーのような利き酒器。そして横にはコイン投入口。えっ、有料なの! 猪口を置き100円を投入すると大吟醸酒が20ccの注がれるのだ。さらに別の酒が出てくる隣の利き酒器は100円で15ccしか注がれない。それでも旨ければまだよい。酒の状態は‥‥‥。このような利き酒器で、デリケートな酒の味を保つのは難しいのだろう。

見学を終え、表の店鋪で改めて試飲させてもらった。蔵粋(クラシック)というシリーズの酒は大吟醸、吟醸、純米それぞれにシンフォニー、セレナーデ、コンチェルトという名前をつけている。『モーツァルトを聞かせて仕込んだ酒』を強調したいのだろう。さっき飲んだ大吟醸酒は‥‥‥だったが、他はどうだろう。数種類飲み比べてみたが、いまいちモーツァルトが響いてこない。他の酒蔵ものぞいてみようかな。

 

蔵の片隅の利き酒器

店で改めて試飲



小原酒造を出て、さあどこへ行こうかなぁ‥‥。ふと見渡すとすぐ並びに一軒あるじゃないですか! 香久山酒店、喜多方の11軒の全酒造元の酒を扱っているという酒屋である。ちょっとのぞいてこ! 蔵座敷を改造したという店は入口の扉が重厚。改造されてはいるが、床の間などの造りがかつて座敷であったことをうかがわせる。喜多方では耐火性に優れていること、そして蔵を建てること自体のステータスから、座敷や店鋪など様々な蔵が建てられたのだ。

香久山酒店

蔵座敷を改造した店

おーっ、種類が多い! さすがに喜多方の各酒蔵の酒を集めているだけのことはある。これだけあると目移りしてしまうなぁ。「飲んでみます?」 待ってました、その一言! テーブルにずらり並べられた酒各種。ひとつひとつ味を確かめる。大和川、香久山、夢心、蔵粋‥‥‥。蔵粋シンフォニーはさっき立ち寄った小原酒造の酒、さっき100円で20cc飲んでみた酒だ。先程の印象は‥‥‥だったが、これは違う。軽やかで軟らかなふくらみが感じられる。蔵元より酒販店の方が酒の状態がいいというのはどういうことだろう? 他には香久山の純米生の程よさ・バランスが気に入った。この2本を買い求めた。

「まだまだ沢山あるんですよ。これはほんの一部。もっと出しましょうか?」 いやいやこれ以上飲んだら、もう帰れなくなってしまう。また来ますからね、福島!

床の間にも酒が並ぶ

これみんな飲んでみました


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