ケーブ&ベイスン

温い温泉の流れを辿っていくと、ブロック造りの建物にでた。ここがケーブ&ベイスン(CAVE & BASIN)国立史跡だ。建物の裏手からさらにディスカバリートレイル(発見の道)という道を登ってみる。すると地面にぽっかり空いた穴が。案内板にはこの穴から地下へ降りた3人の鉄道工夫が、この下にあった湯壺を見つけたと書いてあった。さらに進むと池、手をつけると湯温はぬるいが、しっかりとしたイオウ臭の温泉だ。すぐ上の岩の割目から湧き出して池に注いでいる。流れにゆらめくのは藻状に細く連なった白い湯の華、しなやかに揺れる絹糸のようなそれは、幻想的で美しい。

温泉の池

岩の割目から湧く源泉

それにしても何故ここが国立史跡になっているのか? 現在カナダには39の国立公園があり、その第一号がここバンフだ。そしてこのカナダ初の国立公園の誕生と深くかかわりがあるのがケーブ&ベイスンなのだ
ケーブ&ベイスン(CAVE & BASIN)の館内に入ってみる(入場料$2.5)。 ケーブとは洞穴、ベイスンは浅い池という意味である。 1883年、3人の鉄道工夫がこのケーブを発見した。天井に空いている穴から木を梯子にして下へ降りてみると、なんとそこには天然の湯壺が! その喜びといったら‥‥。 ケーブ発見時の様子がエントランスの壁に描かれていた。

ケーブ&ベイスン(CAVE & BASIN)

3人の工夫が洞窟で湯壺を発見!

3人が湯壺を発見したというケーブ(CAVE)に入ってみる。洞窟の最奥部、天井から差し込む陽光に、浮かび上がる緑の泉。岩肌から静かに注ぎ込んだ湯は、ゆらゆらとゆらめきながら一方の縁から溢れこぼれる。浸した手からは、ぬるめで柔らかな感触が伝わってくる。こういうぬるめの湯には、静かにゆっくりつかるのがいいんだよなぁ。気分はもうこの湯につかっている。今でこそつかることはできないが、ここを発見した工夫たちは、きっと歓喜しながらこの湯壺に飛び込んだであろう。天井を見上げれば、工夫たちが梯子替わりの木を伝い降りてきた穴が。物語はここから始まったのだ。

ケーブ入口

洞窟内部の天然の湯壺

天井の穴

やがてこの温泉の所有権をめぐって争いが勃発する。それは次第にエスカレートし、政府はその解決のため次のように宣言することになる。「温泉は全てのカナダ国民が所有するものとする。ゆえに、そこをカナダ最初の国立公園の一部と指定する。」 こうして1885年、ここにカナダ初の国立公園が誕生したのだ。

「国立公園はカナダ国民の受益と教育、享受のために献呈されるものであり‥‥ これらの公園は管理され、なおかつ未来の子孫のために依然、損なわれることのない利用をされるものとする。」(国立公園法、1930年)

サルファーマウンテンで湧き出た湯はケーブ&ベイスンに流れ込み、さらに下って湿原に注ぎこの地特有の生態系を育む。滞在していたホテルのフロントマンが言っていた。温泉が注ぎ込む辺りの湿原は冬でも凍ることがなく、この環境に適応したブラックモーリー(Black Molly)という黒い小さな魚が棲息しているのだと。それがブラックモーリーかどうかは分からなかったが、温泉が注ぎ込む辺りに小さな魚がたくさん泳いでいた。まるでそこだけには冬が訪れないかのように‥‥。

バンフステイ最後の晩餐は、やっぱりアルバータ牛のステーキっすか! もちろん焼き加減はレアで。300グラム弱のサーロインだがフィレのような食感。柔らかい肉は油の少ない綺麗な赤味でなかなか旨かった。日本で好まれるサシの入った肉とは明らかに違う、ヘルシーなステーキだ。おまけに値段もかなりヘルシー!

カスケード山とボウ川

締めはやっぱりステーキっすか!


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