台温泉

蕎麦屋のすぐお隣は、日帰り温泉精華の湯。ちょいとつかってみましょか!

湯舟はそれほど大きくはない。大人5人も入るとちょっとうるさく感じる。この手の施設はそれなりに人が入るので、ゆったりとつかるのは難しいだろう。しかし大きな窓からは雪景色、浴室いっぱいに壁や天井に使っている白木が香る。空いてりゃ悪くはないのだが‥‥。湯は一日一回取り替えると書いてある‥‥ってことは循環? でもまだ書いてあるだけ正直。最近じゃ偽装してまで、かけ流しに見せ掛ける偽物もあるのだから。

この日帰り温泉を経営しているのは近くの旅館で現在改築中。何でも露天風呂を造るとか‥‥。台温泉は湯治宿が多く、露天風呂とは縁がなかった。やっぱり何としても露天風呂が欲しいのかな? 後で仲居さんに聞いたのだが、やはり宿への問い合わせで多いのは、露天風呂があるかどうかなのだとか。それはあったら嬉しいし気持ちいいのも確かだ。しかし湯そのものより爽快感や開放感を求めること、このことは良くも悪くも温泉地を変えている。湯質が軽視されてはいないだろうか? ほとんど真湯のような温泉や消毒臭が鼻につく湯にはつかりたくない。我々が温泉に求めていること、温泉地に期待することは変化している。広い風呂で寛ぎ、露天で解放される、そして短時間でリフレッシュする。日帰り入浴施設などうってつけだ。しかし温泉の本質とは何だったのだろう? 

精華の湯


入浴後は休息をとるのがよい。宿に戻ってごろごろ。 この怠惰な時間がうれしい。 まだ夕食までは3時間以上ある。ごろごろうとうと‥‥。

夕食、とりたてて素晴らしいものはないが、鍋が用意されているのがうれしい。 鍋をつつきながら一杯‥‥、これさえあれば大体満足なのだから簡単なものだ。 鱈、帆立、しめじ、豆腐‥‥ 何も特別ではない、これで十分。

夕膳

鍋があれば大体満足!

その昔、脚を傷めた鶴が湯煙のたちこめる谷川に、脚を浸しているのを発見した‥‥という由来の台温泉。松田屋旅館の湯は日帰り温泉に比べ肌触りがよかった。 香りはかすかな硫黄臭なのだが、鉱物か石油のような匂いもかすかに混じっている。ホテルの広い湯舟もいいけれど、この位のコンパクトな風呂もいい。大きな浴場は大抵ジェットバスや、これみよがしに湯口から注ぐ湯の音などが充満している。開放感はないが小さな浴室の方が落ちつく。

松田屋別館の風呂


翌朝、山の上の方が明るく照らされ、空は青さを取り戻していた。屋根から落ちる雫が陽光に輝く。いい朝だ。

この朝、私は9時37分のバスで新花巻へ向かった。実は別の温泉にも立ち寄ってみようかと思案したのだが、 この心地よい余韻のまま帰路につきたかった。それで新幹線新花巻駅に向かったのである。駅までは20分少々。意外にアクセスがよいのに改めて驚く。バスの本数は少ないものの、 新幹線の駅からわずかの時間で鄙びた温泉地にたどり着けるとは驚きだ。程なくやってきた新幹線に乗り込む。昼過ぎには東京に着くだろう。それまでしばし、湯の香り・感触、旅で会った人たち‥‥などなど思い返しながら夢の中へ‥‥。

屋根の雫が陽光に輝く

大きなつらら

湯煙

台温泉旅館組合 http://www.daionsen-iwate.com/


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