料亭濱乃家 酒屋まるひこ

この日は秋田市に戻り、懐かしいあの味を味わうことにした。それはきりたんぽ鍋。7〜8年前に秋田を訪れた時、タクシーの運転手さんに教えてもらった店で食べた味が忘れられない。それでまた川反通りの料亭濱乃家にやってきた。店構えは少し入りづらい感もあるが、本店と並ぶ別館の方は入ってしまえば和風のレストランである。

注文は心に決めていたきりたんぽ鍋。冷房の効いた部屋で鍋と冷酒をいただくなんて、いーじゃないですか! 鍋は仲居さんが作ってくれる。そっちは任せておいて酒でも‥‥。酒は新政、とおしは葉山葵づけ。この葉山葵づけが大変気に入った。山葵漬けといっても酒粕でつけるのでなく、松前漬けの山葵バージョンといった感じ。細切りの昆布と葉山葵、山葵のスライスを醤油でつけている。このピリリトロリが実に酒に合う! そうこうしているうちにきりたんぽ鍋が煮上がってきた。ちょうどよい煮加減で仲居さんが取り分けてくれる。その煮えばなをハフッ‥‥、期待を裏切らない懐かしい味。前に来た時仲居さんに作り方を教わり、家で作ってみたがこうはいかない。まあ当然だが‥‥。比内鶏のしっかりしたダシは、煮詰まってくるとまた旨い。きりたんぽがダシを十分吸って、もう後ちょっとでくずれてしまうというくらいのやつが最高だ! 酒もすすむ‥‥。

新政と葉山葵づけ

きりたんぽ鍋



料亭濱乃家の斜向いにある酒屋まるひこ。こんな酒屋があると酒飲みにはたまらない。秋田の酒を中心に(98%は秋田の酒だと言っていた)素晴らしい品揃え。あぁ、あれが欲しい、これも欲しい‥‥、もう冷蔵庫ごと欲しい! 大きな蔵から小さな蔵まで、あの懐かしい『やまとしづく』(写真上段右から3番目)も置いてある。この中から2、3利き酒させていただいた。

刈穂LXX:多くの吟醸酒は梨に例えられる吟醸香を持っているのだが、これはバナナのような香りがする。山田錦60%精米で使っているというが、酵母に秘密がありそうだ。

喜久水 喜一郎の酒:きれいな酒質。味わいもあるがキレもいい。


酒屋まるひこ

ずらり地酒が並ぶ

味を確認し、まだまだ小さい蔵なんですが‥‥という喜久水の酒を一本いただいた。私は利き酒をさせてくれる酒屋が好きだ。酒は名前ではなく中身だ。先入観を捨て、自分の舌で酒を選びたい。まるひこは知識もしっかりしていて、こちらの質問にはきっちり答えてくれる。よく勉強会をしたり、蔵へ出掛けていったりするのだとか。「酒が好きだから‥‥」御主人の謙遜ぎみの言葉が全てだと思う。日本酒を愛しているのが伝わってくる。私はこんな店で酒を買いたい。


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