田沢温泉

山形村から東へ松本を通り越し、田沢温泉を目指す。それにしても松本市内は混むなぁ。辺りはすっかり暗くなってしまった。やっと市街地は抜けたが、その先がまた長い。国道143号を通ったのだが、これは失敗。真っ暗な山道、かなり飛ばしたのだが田沢温泉は遠い。これなら国道254号で三才山トンネルを抜けた方が絶対いい。やっと着いた田沢温泉‥‥、そこはわずか数軒の宿が肩を寄せる静かな温泉街だった。

田沢温泉


国民宿舎 富士

田沢温泉に数軒ある宿の中で、一番リーズナブルな国民宿舎富士に落ちつく。おやっ? 玄関‥‥がない? 棟と棟を結ぶ2階の渡り廊下、縁側のような廊下‥‥、不思議な空間だ。ま、造りはどうでもいい、大切なのは温泉です! さて風呂は‥‥。タイル張りの浴槽に注がれるのは有乳湯(うちゆ)と名付けられた源泉。無色透明で硫黄のいい香り。湯は肌をくるむような柔らかさで大変気持ちいい!

国民宿舎富士

浴室

湯口


富士屋ホテル

国民宿舎富士の宿泊者は、近所に建つ富士屋ホテルの風呂もタダで利用することができる。実はこの2軒、経営者が一緒なのだ。富士屋ホテルには露天風呂もある。それならお言葉に甘えて、星見風呂といきましょか!

露天の寝湯に横になり、夜空を見上げるとカシオペア座が‥‥。 北斗七星はどこだったかなぁ‥‥?  湯面から立ち上る湯気が、星をかき消しまた晴れる‥‥。 ひんやりした風がそっと顔をなでていくのもまた気持ちいい。ぬるめの湯についついウトウト‥‥。ひとつだけ残念なのは、ボイラーの音がうるさいことかな。 露天風呂に注がれているのは、仙人湯(やまどゆ)という源泉。有乳湯(うちゆ)に比べこちらの方が飲みやすい味だ。

富士屋ホテルの露天風呂

仙人湯(やまどゆ)

内湯


共同浴場 有乳湯

共同浴場ものぞいてみよう。宿からすぐの共同浴場有乳湯(うちゆ)を訪ねることにした。源泉名をそのまま銘打つ浴場は、近年建て替えたばかりで、まだ若々しい色合い。これが何年何十年と使っていくうちに、色合いも深くなり、この土地に溶け込んでいくんだなぁ。張り出すように設けられた唐破風が浴客を迎えてくれる。さっ私もいっちょつかろう!

田沢温泉の宿泊者は入浴料200円が半額に。安いねぇー。清潔な浴室、湯舟からはぬるめのいい湯が溢れる。約40℃の源泉をそのまま湯舟に注いでいるのだ。 湯につかると体中につく小さな気泡。新鮮な湯に思わず笑みがこぼれる。ぬるめのいい湯に出会うと、なんかこう‥‥ぷかーとしていたくなるなぁ。肌がさっぱりするのは重曹成分かな。いい湯ですねぇ。

風呂上がり、館内に有乳湯の歴史を展示しているのを見つけた。明治35年改築時の田澤温泉共同浴場、入口の上の張り出し目めに設けられた破風が、今とよく似ている。雨とか雪の時、これがあるといいんだよね。この後、大正昭和と一時コンクリート造りになったりしたが、平成にまた木造が復活した。共同浴場はやっぱり木造がいいなぁ。年月が経っても、コンクリートのように古くならず、深みを増していくのがいいもんね。

共同浴場の有乳湯(うちゆ)

湯舟

明治35年改築時

田沢温泉も十分堪能しました。ここまで来たらついでにお隣、沓掛温泉も訪ねてみましょうかね!


沓掛温泉の洗い場?

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