中国に死す_2後悔先に立たず。最悪の事態にも備えよ。

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 Yさんが部屋で倒れていると判断した私達は、ホテルの責任者を呼んで事情を話し、部屋を開けてもらうよう頼んだ。ドアはまだチェーンがかかっていて中に入れない。チェーンを切って中に入るのだとばかり思っていた私は、責任者に呼びだされた作業者が思いもよらぬ方法でドアを開けたので驚いた。最後の砦だと思っていたあのチェーンも、実はたいしたことはないのだ。

 Yさんの状況は想像より深刻だった。それでも私は、数日入院すれば、また元気になるだろうと、そのときは思いこんでいた。救急隊員が来て患者を看る。通訳が「目が大きくなっていると言っています」という。『瞳孔のことだ』さっきまでの甘い期待は完全に打ちくだかれた。

 通訳の携帯電話を借りて、日本にいるYさんの上司に電話した。「Yさんが倒れました。危険な状態です」。後で聞いたのだが、上司は悪い冗談だろうと最初は思ったそうだ。だれでも最悪の事態を瞬時に受け止めるのは容易ではないのだ。

 救急隊員がYさんを運び出した後も、まだ私は入院したら身の回りのものが要るだろうと、Yさんの着替え、貴重品などを集めていた。ところがパスポートがどうしても見つからない。商社マンが言った。「Yさんはいつも後ろのポケットにパスポートを入れていました」。常にお客の一歩後ろを歩く商社マンならではの情報。

 身の回りのものを一通り集めて、救急車を追うことにした。後になって、もう一つ大事なことを忘れていたことが分かった。風呂に入った形跡があるかどうかを調べること。Yさんが倒れた時間を特定するのに役だったかもしれない。しかし、そのときの私には、そんなことを調べている余裕などなかった。

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