シャーロックホームズとおふろ

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 この二つの関連が分かるかね?ワトスン君?

 分かる人は、よっぽどのシャーロックホームズファンか、あるいは私のようにたまたま一本の白黒映画を見た人のどちらかであろう。

 仮にウェールズのみならず、イギリス、あるいはヨーロッパ諸国に住んでいる日本人にアンケートを取る事ができたとしよう。「日本に比べて物足りなさを感じることは何ですか?」と言う問いに対する答えには、「おふろ」が必ず上位に入ってくることと思う。

 その不満を、私が代わりにここでぶちまけさせていただく。

1 掛け湯ができない。

 おふろにはいる前に、洗面器に入れたお湯をザーっと浴びる。体を洗ったあと、体に残った石けんを同じく洗い流す。これらの行為を湯船の中でやっている人はあまりいないだろう。バスタブの外の洗い場でザーっとやりたいものだ。イギリスでは先ずこれができない。バスタブの外には基本的に一滴のお湯もこぼしてはいけない。ヨーロッパのホテルに泊まったら、日本と同じようにバスタブの外で掛け湯ができないどころか、お湯をこぼしてもいけないことを先ず認識しておかなければならない。

 シャワーを使うときも、バスタブを囲うように掛けられているカーテンを、カーテンの一番下がバスタブの内側にはいるようにひいて(外に出してはいけない)、シャワーのお湯が外に飛び散らないようにする。

 全部とは言えないが、一般的なイギリスの家では浴室にはカーペットが敷いてある。トイレも一緒の部屋にある。

2 追い焚きができない

 いくらおふろ場にもセントラルヒーティングがあるといえども、一度張ったお湯をそのままにしていると水温は下がってくる。特に冬場など、あったかいおふろでゆっくりしたいと思っても、なかなかそうはいかない。イギリスのおふろは、温水、冷水の蛇口があるだけで、ふろ釜なるものはない。従って、追い焚きなんていう芸当はできず、長湯をしようものなら風邪をひきそうになる。

3 妙に浅い

 昔の日本のお風呂って、もっと深さがあったように思うが、最近の日本の湯舟は座って入ると言うより、横たわるかたちになりつつあるのではないだろうか?イギリスのお風呂は、それ以上に浅く作られている。もうほとんど寝湯っていう感じだ。追い焚きができないのもあって、お湯の温度はどんどん下がっていくような気がする。

 以上のような構造の違いから、お風呂に入るときの作法も自ずと違ってくる。

1 お湯を張る

 もし、泡ぶくぶくのお風呂に入りたいならば、バスフォーム等と呼ばれるシャンプー状の液体を買っておく。お湯を張る前にバスタブに適量入れておく。そこへ、温水と冷水の蛇口を回して、勢いよくお湯を張る。そうするとこの水流により、もこもこもこと泡が立ってくる。日本では、一人一人入る度に、お風呂のお湯を入れ替えることはあまりしないだろうが、イギリスやヨーロッパでは、お湯は毎回張り替えるのが普通だ。これが欧米人が日本のお風呂にあまり入りたがらない理由の一つだ。

2 服を脱ぐ、マットを引く

 お湯を張ったら服を脱いで入る。これは一緒。お風呂から出るとき足を置くために、お風呂用の小さなマット(タオル地のもの)を湯舟の外に敷いておく。滑り止め用のマット(ゴム製)を使う場合はこれは湯舟の底に敷いて使う。

3 シャワーカーテンを引く

 シャワーを使うときには、前述のようにバスタブの内側にカーテンのすそが入るようにして引く。

4 体を洗う

 湯船の中で洗わなければならない。本当はどうやらブラシの付いた長い棒(靴洗い用のブラシの大きいヤツ)を用いて石けんでごしごしするようだ。が、私はここはどうしても日本風で通したかったのでこのブラシは使わなかった。

5 すすぐ

 人によってさまざまだろうが、私は湯舟のお湯を抜きながら、シャワーを浴びて石けんを落としたり、髪を洗ったりした。

6 お風呂を出る

 出る前にバスタオルで体をふく。敷いておいたマットの上に乗って服を着る。お風呂を出たあとは、簡単に掃除をし、湯あかを落としておいて次の人が気持ち良く入れるようにしておく。

 ところで、イギリス人はお風呂に入るよりもシャワーで済ませることの方が圧倒的に多いようだ。この辺がお風呂好きの日本人と違う所か。

 矛盾するようだが、ちょっと古い家になるとシャワーが付いていない事が多い。ホームセンターでも蛇口取り付け用簡易シャワーを売っている。反対に、最近の家には二階の主寝室にプライベートシャワーが取り付けられているものもある。

 昔のイギリスのお風呂は金ダライのお化けのようなバスタブに、何度もバケツで運んできたお湯を満たして入っていたようだ。これが冒頭の"シャーロックホームズ"のある白黒映画の一シーンに描写されていた。(ワトスン君、観察することが大事なんだよ。)それにしても入浴自体、ずいぶんと面倒だったようだ。

 お風呂=バスの語源にもなったと言われるBath(イングランドにある)にはローマン・バスと呼ばれる大浴場の遺跡がある。今でもお湯が沸いていて大勢の観光客がやってくる。ここに見られるように昔は共同浴場などもあったが、流行性の病気の経路になるということが問題視され、ウェールズの友人によると500年前ぐらいから、共同浴場は衛生上の理由で禁止されるようになったそうだ。それで今でも、一般家庭であっても、一人一人お湯を張り替えるという習慣になっている。


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