パンと言えば新食感?

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 フランスパンと区別するため、食パンのことを、以前はイギリスパンと呼んでいたような記憶がある。

 資料(*1)によれば、イースト菌で発酵させて作るパンは古代エジプトで発明され(アジアという説もあるそうだ)、イギリスにはローマ人がその技術を直接伝えたらしい。ヨーロッパの中を時間をかけて変化しながら伝えられ、フランスで花開いたフランスパンとは、形態だけではなく、歴史も違うわけだ。

 さらに、日本にイギリス式、フランス式両方のパンが普及したのは、幕末の戦いで、幕府軍はフランス軍に、薩長軍はイギリス軍に後押しされていたことと関係があるらしい。この戦いで薩長軍が勝ったので、イギリスパンの方が先に普及したと紹介されている。

 では、実際にイギリスで食べられている食パンとは、どんなものだろう。

 最近CMで「何とか新食感」というパンが宣伝されている。しかし、イギリスのパンとはずいぶん違う。違うことは決してそれ自体が悪いことではないし、実際私もそのパンを食べたが、別に嫌いだというわけではない。

 話は変わって日本でフランスパンと呼ばれている形態のパンの最大の特徴は、その硬さにある。と、私は思う。食いちぎる瞬間口中に広がる香ばしさ、歯で味わうというか(歯ごたえ、というのは違うと思うのだが)そういう感触が良い。これも、日本のものになると、ふにゃっと柔らかかったりする。

 大雑把に言うと、薄くスライスされて、硬め、というのがイギリスのパンだ。言い方を変えれば、日本の食パンは、やたらと分厚く切られていて、妙にやわらかい。

 いつもの素人意見で言わせてもらえば、イギリスのパンは餃子の皮、これに対して、日本のパンは(ディープ・パンと呼ばれる)ピザの生地にあたる。どちらかというとイギリスでは、パンに乗せるものを受けている受け皿といった役目だ。受け皿だから薄い。薄いゆえに適度な硬さが無いといけない。餃子の皮も、あれだけ薄いから中の具が引き立つのであって、皮がやたらと厚い餃子なんて、やっぱり変な感じでしょう?

 この厚さの違いの原因のひとつに、日本人はパンに対して、「主食」のイメージを持っていることが考えられる。ご飯にふりかけというのが、ご飯がパンになって、ふりかけがジャムやバターに変わるといったところか。ふっくらご飯がおいしいように、パンもふっくらしているほうが良い。このことが先の新食感をうたった食パンに結びついているように思う。

 イギリスの主食については、チップスのところで詳しく述べているのでここでは省略する。

 食パンには、白い食パン、ブラウンがかった食パンの二通りがある。ブラウンのほうが健康に良く、高級だ、と信じている人もいる。(そういえば日本って圧倒的に白い食パンが多いですね)

 食パンのところでもうひとつ紹介しておきたいのは、トーストを並べて立てて置く台だ。これに相当する正しい日本語を知らないから、ここでは、仮にトースト立てと呼ぶことにしよう。このトースト立ては概略下の図のような形態をしている。幅5ミリぐらいの金属の輪が10個ほど並んでいる。輪の間に、トーストを立てておく、という使い方をする。輪の形は丸だったり、三角だったり、いくつかのバリエーションがる。これが家庭の、レストランのテーブルに置かれる。

 日本で売られているスライス済み食パンで、この隙間に入るものは、果たしてどれだけあるのだろう。

トースト立て(PC用画像)

*1: 出典 大塚滋著 食の文化史 中公新書(抜粋)


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