イギリス病について

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 「だからイギリスはダメだ」。イギリス病と言えば、労働意欲に欠け、向上心も無いこと。

 ところが、「イギリス病」は海の向こうの、遠い国での話にはとどまらず、日本だって、いつかは同じようになってしまう危険性が十分にある。そうならないためには、「イギリス病」先進国のイギリスや、先進諸国のことを研究し、来たるべき日本の危機に対して準備を進めておくことは重要といえるのではないだろうか。

 今のイギリスを見ると、なぜ、産業革命がこの国で起こりえたのか、不思議に思えてしまうほどの有り様だ。

 イギリスは福祉が厚い国としても有名だが、それが行きすぎて、一時は失業手当てのほうが、労働者の最低賃金を上回る事態にまでになった。働くより、働かないほうがお金が儲かる、という環境では、だれが好き好んで仕事をしたいと思うだろうか。

 行きすぎた福祉はイギリスの国力の衰退とともに必然的に見なおしがなされ、今では前述のような異常な事態は解消された。

 そういった金銭面以前に、日本の労働者に比べ、向上心に欠けるところが有る。向上心が強い人と、まったくと言って良いほど無い人とがいて、後者の割りあいが比較的多い、と言えるだろう。

 掘り下げれば、日本人の異常なほどの「人並み主義」と、イギリスの階級社会が見え隠れする。

 自分の出身に縛られず、限りない可能性を信じて日々努力する人も、もちろんいる。

 しかし、ほとんどの場合は、例えば「自分は労働者階級の家に産まれ、それに合った教育を受け、労働者として楽しくやっている。無理に管理監督者になんかにさせられて、面倒に巻き込まれるなんていやだ。」といった考え方が支配的だ。

 だから、前述のように福祉の見なおしがされた今でも、イギリス病が「完治」した、とは言いにくいのである。

 

 先進国と発展途上国の両方で生活して見ると、面白いことに気が付く。

 発展途上国には活気があり、何となく明るい未来が感じられる反面、秩序などには安定感が無い。先進国は、ちょうど反対。何となく、行き詰まり感がある。

 上海で生活してみると、数十年前の高度成長時代の日本は、きっとこんな感じだったんだろうなあ、と思えるし、イギリスに住んでみると、数十年後の日本は、こんな風になっているかもしれないなあと感じる。ちょうど、タイムマシンに乗って日本の近未来と、近過去を行き来しているような錯覚にとらわれる。

 イギリスなどの先進諸国を研究することは、いずれは日本に起こるであろう諸問題に先手を打つことにもつながるような気がする。


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