ちょうどのつり銭

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 お店で買い物をするとき、金額が920円だとしたら、1000円札を出した後で、小銭を20円出す、ということは良くあるだろう。もちろん、100円玉でちょうどのお釣りをもらうためだ。最近はこれをキリが良いつり銭、キリ銭というらしい。

 1000円引く920円は80円だが、これではつり銭がかさばるので、1020円引く920円で100円のつりにする。たいていの日本人は、無意識のうちにこの暗算ができる。

 ところがイギリスではこうはいかない。9ポンド20ペンスの買い物をしたときに、10ポンド札と小銭で20ペンスを出すとしよう。店員は不思議そうな顔をしたあと、おもむろにまず20ペンスを返してよこす。さらに20ペンス、10ペンス、50ペンスの硬貨を出して、「10(ポンド)」とにっこりする。

 イギリスでは客と店が、同じ価値のものを交換する、という発想で成り立っている。客が10ポンド札を出しているわけだから、店は商品の9ポンド20ペンスに現金80ペンスを足して、同じ価値のものとして差し出すことになる。

 結局、価値の割りにやたらとかさばる小銭をたくさん抱えて退散することになるわけだ。こんなわけだから、イギリスではうっかりすると家に小銭がたまってしまう。

 小銭を減らすためには、買った商品の金額にぴったりのお金を出すか、故障がちであてにならない自動販売機にせっせとつぎ込むしかない。イギリスで小銭を減らすコツは、自分の財布に入っている小銭の合計額を、常に頭に入れておくこと。例えば今、72ペンスある、というふうに把握しておいて、支払いの時、ここぞというチャンスで小銭を出すわけだ。

 ちょうどのつり銭の喜びは、イギリスではあきらめるしかない。


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