支払いは小切手で

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 なんて言うと、どんな大金持ちかと思ってしまうが、小切手(チェック)は英国の庶民生活に深く根付いている。英国で「キャッシュ」というと、もちろん現金のことを言うのだが、時にはチェックによる支払いも「キャッシュ=即金」に含まれるぐらい、身近であたりまえのものなのだ。チェックのおかげで、英国人は大金を持ち歩かなくてもいいし、確実なお金のやり取りができる。

 ではチェックとはいかなるものか?日本では、銀行口座を作ると、通帳を渡される。英国では小切手帖(チェックブック)を渡される。通帳は無いが、毎月の収入、支出、残高を計算した計算書=ステートメントが送られてくる。

 チェックブックは、白紙のチェックが束になっている。一枚一枚のチェックには、自分の名前、口座番号、チェックの通し番号などが機械で印刷されている。自分で書きこむ欄には、支払う相手の名前、例えば、個人、何々デパート、何々電力、何々幼稚園などと記入する欄、支払う日付と金額を書く欄、、そしてサインをする欄とがある。金額はアラビア数字で書く欄ともうひとつ、英語で書く欄とがある。例えば£2-50と書いて、その隣に"two pounds fifty pence only -"といったぐあいに書く。不正防止のために、すべての空所には横線"-"を引いて、他の人が上書きしたりできないようにする。

 サービスや商品と引き換えにチェックを渡す。受け取ったほうは、今度は自分の口座がある銀行に持っていき、備え付けの封筒に、「私のこれこれの口座に、このチェックに書いている金額を振り込んでね」と書いて窓口に渡すと、めでたく入金される。

 トラベラーズチェックと同じように、現金を引き出すこともできる。このときは支払い相手の欄に"Cash"と書けばよい。使ってみると、自分の銀行口座から相手の口座へお金を動かすもの、まあ振りこみ用紙という感じだ。クレジットカードに似ている。というより、チェックを少し機械化したものがクレジットカードだと言えよう。仕組みは違うものの、自分の口座のお金を動かすという感覚はほとんど変わらないのだ。

 では、簡単便利なクレジットカードにとってかわられるかと言えばそうではない。チェックの最大の強みは郵送できるという点だ。何でもかんでも銀行振りこみにしてしまう日本と違い、公共料金の支払いも、クレジットカードの支払いもチェックを郵送して払う。英国人の同僚は、別れた奥さんの慰謝料ですら毎月チェックで払っていた。そんな大切なものを郵送して大丈夫なのか?

 チェックの安全性は非常に高い。支払い相手をきっちり書いてあるのがミソ。正規の受け取り人以外は、たとえそのチェックを拾ったとしてもお金を受け取ることはできないのだ。すべての欄を手書きし、空所に"-"を引くのはこのため。トラベラーズチェックが安全なように、クレジットカードよりずっと安全。スキミングなどの心配もない。

 少額でも使える。カーディフのシティーセンターに買い物に行ったとき、有料駐車場に停めた後で財布を忘れたことに気づいた。真っ青になったが、いまさら車を出すわけにもいかない。どうしよう!とあせってかばんをかき回したら、チェックブックが出てきた。「こ、これでお願いします。」100円ぐらいの料金ではあったがチェックで支払った。


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