箸を使うイギリス人

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 ガイジンが自分の国の文化を理解していると、少なからず驚いてしまうもの。やたらと日本の歴史に詳しいガイジン、日本文学に精通しているガイジン、歌舞伎が好き、というガイジン。そんな中に、箸を見事に使いこなすガイジンをあげても良いだろう。

 イギリス人を連れてレストランに入ったとき、頼んでもないのにナイフとフォークを持ってきた。「ガイジンだから箸は使えないだろう」という"気配り"だったに違いない。だが、意外なことに箸を使うガイジンは多いのだ。

 「健康食ブームにのって、日本料理が広がっているからか」と期待するのは、ちょっと気が早い。世界中に広がっているのは日本料理ではなくて中華料理だ。ストイックなまでに日本の食材、調理法を再現しようとする日本料理に対し、中華料理は進出した国の食材をうまく取り込んで広がってきた。食べなれた自国の食材を見て、ガイジンも安心して箸を伸ばす。

 中華料理店に行くと、「箸の使い方」を印刷した箸袋が出てくる。「一本目の箸を鉛筆を持つようにして持つ。自由に回転するように。もう一本の箸を親指の根元に置き、親指と薬指で動かないようにはさむ」。だいたい、これだけ。こんな説明であの不器用なはずのガイジンが箸を使えるようになるから不思議だ。

 考えてみれば、われわれ日本人は子供のころから箸を使えるよう訓練させられる。だが、子供の小さい指ではなかなか思うようにならない。「鉛筆を持つように」と言われても、鉛筆を持ったことがない幼児には、もともと無理な相談だ。

 それほど苦労した箸をガイジンが使いこなすのは、意外ではあるが、実は驚くほどのことではないのだ。


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