サイダー

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 日本でおなじみの炭酸の入った飲み物が、なぜサイダーと呼ばれるようになったのかは分からないが、イギリスでサイダーといえばリンゴで作ったお酒のことをいう。試みに和英辞典で「サイダー」を繰ると「リンゴ酒のこと。日本語のサイダーは和製英語」とある。

 フランスの一部にもサイダーを作っているところがあり、"Cidre"と綴る。イギリスでは"Cider"。南イングランドには沢山のサイダー製造業者がいるので、海峡を挟んでサイダー作りに適した気候にあるのか、はたまたケルト人がこよなくサイダーを愛しているためか、ひょっとしたらその両方なのかもしれない。

 ビールと並んで、スーパーマーケットでも売っている。パブでも当然並んでいる。日本からきた人に、「サイダーです」と言って飲ませる。泡のほとんどないビールと言った感じの液体に初めは変な顔をするが、ちょっと飲んでみるとその口当たりの良さに「ほう。いけるね」となる。アルコール入りですよ、と言うとちょっとびっくりして、さらに「何からできていると思いますか?」と訪ねてみると、もう一口飲んでみて「リンゴの香りがする」、とだいたいこんな風になる。

 元々は、大抵の農家で自家製の飲み物としてつくられていた。イングランド人の友人によれば、彼の知り合いに今でも昔ながらのサイダーを作っている"秘密"の農家があって、時々こっそり分けてもらいにいくという。私はこの目で見たことはないのだが、樽の中に藁(わら)をひいてリンゴを乗せ、その上に藁とリンゴ、というように積み上げておいて、上から圧縮(昔は樽の上にかぶせた大きな圧縮機を馬に回させたらしい)すると藁の間を通って、リンゴジュースがにじみ出てくる。これを発酵させるとサイダーになるという。彼がつけ加えるには、発酵させるときに藁の温度がちょうどよい暖かさになって、よくネズミが昼寝をするらしい。従って、彼秘蔵のサイダーは藁とリンゴとネズミエキスからできているらしく、私には"農家で分けてもらおうなんて考えないでスーパーでケミカル入りのサイダーを買いなさい"と勧めてくれた。よほどその"秘密"のサイダーはおいしく、他人には教えたくないらしい。

 昔は値段も安かったらしいが、今ではラガービールや、ビタービールと同じぐらいする。アルコール度はビールがせいぜい4パーセントなのに対して、8パーセントもある。口当たりがいいからといって飲み過ぎてはいけない。足に来る。ビール(確かラガーでよかったと思うが)とサイダーを5対5で混ぜると"スネーク・バイト"と呼ばれる飲み物になる。蛇にかまれたように足腰が立たなくなるかららしい。あまりに酔いが回りやすいのでパブのカウンターではついでくれない。"スネーク・バイトください"と言っても"そんなのは聞いたこともないし売る事はできない"としらを切られる。ただし、"ラガーとサイダーをハーフパインツずつ、それとあいているワンパイントのグラスを頂戴"というと、にこにこしながらついでくれる。後は自分で混ぜて飲むだけ。

 日本語のサイダーが飲みたければ、レモネードを注文すると良い。ラムネはレモネードがなまって日本に伝わったものだそうだが、実際の"lemonade"の発音は、カタカナ英語になじんでしまった日本人には以外と難しい。"レモネード"で通じなかったとき"ラムネ"と発音して通じたこともある。一度試されてはいかが?

 私が子どもをパブに連れていったとき、子どもに「何が飲みたい?」と聞いてみると"サイダー・プリーズ"なんて言ったもんだからお店の人をびっくりさせてしまった。"レモネードください"と言いかえるとと、日本でおなじみの炭酸と砂糖とケミカル入りの水を出してくれた。彼が大人になったら、こんな話でもしながら本物のサイダーを味わってみたいものだ。


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