ズボンの裾上げ

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 ズボンの裾上げが要らない売り方。ウェストのサイズごとに、何種類かの股下長さのものが並んでいる。

 ズボンを買う人は、売り場に吊ってあるズボンの中から、自分のサイズに近いものを選んで、試着室で確認したあと、そのままレジに持っていく。このやり方だと、売り場に並べられる種類、デザインや色の違いといったものは限られてくるが、裾上げの手間を省略できて、極めて効率的である。

 イギリスの百貨店、マークスアンドスペンサーにズボンを買いにいったときのこと。ウェストの寸法ごとに、3種類ずつ股下の長さが並んでいた。ロング、ミディアム、コート(短い)の3種類だけ。3種類で全部をカバーするため、長さにかなりの差がある。ミディアムでは長いが、コートでは短いという場合どうするか。どちらかで妥協するわけだ。

 一説によると、イギリス人は他人と必要以上に話すことを好まないという。この場合も、ちょっと短いとか長いとかで、客と店員が言い合いをしたり、手間を掛けて裾上げしたりするよりも、静かに妥協することを選ぶ。そもそも短いというのだけ、英語のショートという表現を使わずに、フランス語のcourt(クー)を使うあたりも、直接的でずけずけと他人に干渉することを避けるためではないかとも思われる。

 イギリスでの買いものは、時として店員のよそよそしい態度に出くわすのだが、言いかえれば、イギリス人の店員からすると、私はずけずけとものを言う客に見えるのかもしれない。


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