小数と分数のなぞ

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 イギリスで仕事をしていると、よく、分数を目にする。たとえば長さでは"6インチと4分の3"等と書いたりする。「6.75インチじゃだめなのか?」と言いたくなる。

 この分母に使われる数字も、妙に中途半端なものが多い。16分の15とか、8分の3とかはあるが、10分の3など、即座に理解できるものが無い。

 これは、後で思いついたことだが、多分、イギリス人のシェアという概念と関係がありそうだ。シェア30パーセント、というと、10あるうちの3を、特定の商品やブランドが占めている、と言う意味になる。シェアは本来、分け前、という意味。

 よく例に取り上げられるのが、食べ物のパイ。円グラフなんてのは、元々は丸い形をしたパイだ、と断言してもいいだろう。パイの30パーセントを占める、これがシェア30パーセント、という事になる。市場の大きさは決まっている。パイ全体の大きさは変わらない。そのうち自分の取り分が、30パーセントですよ、というわけだ。

 ところでパイでも、ピザでもあるいはケーキでも良いが、こう、丸いものを切り分ける場合、例えばちょうど30パーセントだけ切り取る、と言うのは至難の技だ。公平に、正確に切り分けようとすれば、普通はまず、全体が半分になるように縦にナイフを入れる。次に4分の1になるように横に入れる。斜めにXを描く要領で、更に8分の1にする。

 勘の良い読者諸兄ならもうお判りのように、こうやってあの不可解な分数達が活躍するようになる。8つに切ったうちの3つ、だとか、細かくなれば16分のいくつとか、32分のいくつ、と言うようになっていく。決して10分のいくつとはならない。

 長さにしても、インチで表示されたものさしは、1インチのちょうど半分に大きめの目盛りが刻まれ(つまり2分の1インチ)、それを等分、つまり4分の1にあたるところに次の目盛りが刻まれ、というような具合に作られている。

 話は変わるが、産業界においてシェアに関する考え方は、ヨーロッパ世界と、日本とでは微妙に違っているような気がする。

 日系企業がよくやる、コスト力で見境なくシェアを分捕っていくやりかた、とは対照的に、ヨーロッパ地場産業の業界内では、企業毎に得意分野が分かれていて、業界内での緩やかな分業体制というか、そういうものがあるように感じられる。"うちは超高級タイプのみ扱う"だとか、"廉価品はあの企業にやってもらったらいい"という感じ。

 たとえばベンツなら、軽自動車みたいなのは作らないとか(最近はちょっと変わってきたかな?)。ボルボも間違っても(本当に水に浮くとしても?)ミニのような車は作らないだろう。

 仮にある分野でのライバル企業同志だとしても、違う分野、ライバル関係にない分野では、お互いに弱い所を補完しあう協力体制を作っていたりする。実に不思議だ。

 それだけに、日本や韓国をはじめ、アジア系企業の礼儀をわきまえない侵略的活動は、時に彼らのひんしゅくを買うことになる。


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