欧州安全規格

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 JR西日本の脱線事故は未曾有の大惨事。亡くなられた方の冥福を祈り、被害に遭われた方の一日も早い回復を願う。

 さて、鉄道事故に関して、「海外先進国はどうしているんだろう」という疑問は当然でてくる。欧州の場合、鉄道に限らず、安全に関しては、各国の代表が集まった委員会があって、加盟各国が守らねばならない規格を作っている。大陸では隣国(たいてい仲が悪い)から商品が流れ込んでくる。粗悪品を持ってこられちゃたまらない、ということで、相互にけん制しあう。欧州安全規格、ヨーロピアン・ノームのノームはノルマの意味だ。

 欧州安全規格の特徴を一言でいえば、「人はミスを犯す、安全装置は壊れるのが前提」というもの。人がミスをして機械が壊れていても、一定の安全性を確保することを義務付けている。

 英国で作業台を新しく購入したときのこと。金属の台が頑丈そうだったので、それにしようと思っていたら、「ケリー、ここは木製の台じゃないとダメなんだ」。聞けば、万一、感電した人が意識を失って倒れても、他の金属に触れてはいけない決まりだという。

 そしてもう一つの特徴は「自己認証」。国の機関のお墨付き、何とかマークの「承認」をいただくのではなく、安全規格に適合してますよ、安全ですよ、ということを自分で宣言する。

 「なあんだ、自分で書けばいいんだったら楽勝!」と思ったら大間違いで、すべての不安全問題(人為的ミス、安全装置の故障を含んで)は、100パーセント当事者(製造者)の責任になる、というわけ。

 そういう見方からすると、不安全問題の対策として「全員に再徹底します、教育します」というだけでは、何とも頼りなく聞こえる。昔の日本、職場にはそのシステムのすべてを知り尽くしている「職人」がいて、お上には先手を打ってくれるエキスパートがいた時代は、日本的安全システムは問題なかった。でも今はもう、破綻しているように思えてならない。

 学力低下、少子化、あるいは外国人労働者の増加など、不安定要因は増えるばかりだ。22世紀も日本の安全が世界トップレベルでありつづけるよう、考えなおす時がきたのだ。


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