車のマフラー

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最もイギリスらしい天気、つまり雨をものともせず、妻のフォードは快調に湖水地方へと向かっていた。ところが後一時間も走ればウィンダミアというときに、突然がたがたと大きな音をたて始めた。急いで車を降りて調べてみると、マフラーが付け根から外れて路面まで落ちかけている。

イギリスはうすら寒い。カーディフで雪が積もる日は年間で数えるほどしかなかったが、それでも冬の間、朝早くには路面が凍結することもたびたびあった。路面が凍結しにくくするため、頻繁に塩撒きの車がやってくる。

あちこちで撒かれた大量の塩は、やがて車体、特にマフラーを傷める。つまり錆びてしまうわけだ。イギリスではマフラーはもう、消耗品という感じで、錆びたら交換となる。

実際、注意してイギリスの道路を見ていると、時々、錆びたマフラーが落ちているのを目にする。

イギリスのジョークのひとつに、「この前、錆びたマフラーを持った警官がやって来て、このマフラーはあんたが落としたものかい?って聞いてきた」とかいうのがある。

この前車検(MOT)をしたばかりだったのにマフラーが錆びているなんて聞いていなかった。さすがはイギリス。危機管理は個人の責任というわけだ。(単にチェックがいい加減だともいえるが)。

さて、車が止まったのはミドル・オブ・ノーウェア。前にも後ろにも何も無い場所。日本のJAFにあたるAAに連絡しようにも電話が無い。地図と勘を頼りに車を降りて前方に進むこと30分、やっと公衆電話にたどり着いた。

AAを呼んで、近くの修理工場まで引っ張ってもらう。工場には愛想の良いおじいさんが一人いて、なれた手付きで破れた部分を溶接してくれた。修理費用が気になったが、「はい、5ポンド」と随分と良心的な値段。

そして彼は、「修理は仮にしておいたけれど、早く交換しないとまた落ちてしまうよ」と付け加えた。それからちょうど一ヵ月後、予言通り、マフラーがまた外れた。


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