パタニティー_イギリスの育児休暇

イギリス(PC)>エッセイ(携帯)職場>パタニティー

 マタニティー(maternity)は母であること、母性。だから女性だけに関連した事象。

 これに対して父親であること、これをパタニティー(paternity)という。ちゃんと辞書にも載っているので、冗談だと思う人は是非ご自分で確かめてほしい。

 イギリスの職場で私とちょうど同じ年のスコットランド人がいた。ある日彼が満面の笑みを浮かべて出社してきた。「ケリー、やった。子供が生まれた。今日から僕はパパだ。」「いやあ、おめでとう。」私も小さな子供をもつ父親。父になる喜びに国籍も人種も無い。

 話しが突然それるが、後何世紀も経って人類が宇宙で生活するようになったとき、距離と時間の観念が今よりも随分と違ってくる。地球上の時差ぐらいの簡単なものではない。恒星間の距離となると、光の速度でも何年もかかる。技術が進歩しても、光の速度を超えることは出来ないといわれている。

 ところが、不思議なことに人間関係は光の速度を簡単に超えられるという。たとえばある惑星で女性が子供を産む。父親は何光年か離れた惑星にいる。母親が出産後にすぐに父親に連絡をしても、父親がその知らせを受けるまでには何年もかかる。

 それにもかかわらず、その人が父親になったという事実は、まさに子供が産まれた瞬間に、一瞬の遅れも無くゆるぎない事実になっているのである。たとえ父親になったとの知らせをまだ受けていなくても。

 イギリスから宇宙のかなたまで飛んでしまったので話しをもとに戻そう。はい、私達は無限の宇宙に浮かんだ心細いほどに小さな地球の、更に、ごま粒のようなイギリスでの話しをしています。

 一通り父親になった喜びを語った彼は、「そういうことでケリー、一週間会社休むから、あとよろしく。」「へ?どうして?」彼いわく「パタニティー・リーブだから」育児休暇の男性版らしい。

 こんなことで驚くようじゃ、当時の私もまだまだ。

 価値観が変わってきたとはいえ、相変わらず出産、育児を女性に押しつける我が日本の風潮は果たして世界に誇れるようなものであろうか。

 イギリスのブレア首相が同じ様に(同じ言葉を使ったかどうかは別にして)休みを取ったとき、批判する人もいたが、今じゃさすがに、なるほどと思うことはあれ、批判する気にはなれない。


イギリスウェールズ目次に戻る KeriMaedaWales