イギリス式割り勘の法則

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 パブにはいろんなしきたりがある。

 しきたりは堅苦しいものとは限らず、その場にいる人達が、互いにそれとなく守りあうことで、気持ち良くすごすことができる知恵でもある。

 パブはお酒を飲むところであるが、当然飲んだ分はお金を支払う。パブではカウンターで注文し、飲み物がきたときにその場で支払う、前金制になっている。

 一人で飲む分には何の問題も無いが、何人かで来ている場合、どうやったら平等に支払うことができるか、割り勘にすることができるか、が問題となる。前金制であるため、あとで勘定書をもらって代金を人数割にする、ということができない。

 そもそも我が愛するイギリス人は、必ずしも計算に長けている訳ではない。なおかつ、アルコールが入ると更に怪しくなる。

 ではどうするか。それはこうだ。まず、グループの中の一人が各人の好みの銘柄を聞き、カウンターに行く。たとえば5人でパブに来ていたとすると、5人分のビールを注文する。人数分のビールがカウンターに並ぶと、その人が全員の分の代金を支払い、みんなが待っているテーブルにビールを運ぶ。これでまず、一杯目のビールが全員に行き渡る。

 一杯目を飲み終えるころに、他の誰かが、再度各人の希望を聞いて、ビールを注文しにカウンターに行く。更に、3人目、4人目と注文し、最後に5人目が注文してビールを持ってくると、めでたく5人が平等に支払ったことになる。

 もちろん、銘柄によって、多少値段が違うので、完全に平等というわけではないが、この辺がジェントルマンアグリーメントというところだろう。

 パブのドアをいったん通ると、原則として職場などの上下関係は無くなる。最初に注文する人は別に年長者でもなければ一番の上役というわけでもない。どうせ5人全員が支払うことになるのだから、誰が最初でもかまわない。

 問題は、この場合、5人目が注文したビールを飲み終えたときだ。次に誰かが注文すると、これはもう一巡しないと平等にならなくなってしまう。つまり、5人でパブに来たときは、5杯で終わらなければ、10杯目まで行くか、まあ、無いとは思うが15杯という具合に人数の整数倍のビールを飲むことになる。

 したがって、大人数でいったときは相当の量を飲まなければならないことを、あらかじめ了解しておかなければならない。ただし、これはあくまで原則であり、もう飲めないと思ったときは、希望の銘柄を聞かれたときに、もういらないことを告げればいい。何でも最後は自己責任というのが、イギリスの基本の考え方だ。

 イギリス人の友人の一人は、軍隊にいたときのしきたりを教えてくれた。飲める飲めないに関係無く、順番にビールが配られてくる。飲めないときはどうするかというと、頭からばあっとかけるのだそうだ。

 あまりにばかばかしいので決して真似をしないように。


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