スキトル

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 イギリスには、テン・ピン・ボウリングと言うスポーツがある。何のことはない、普通のボウリングのことだ。

 ピンが10本だからテン・ピン。なぜ、わざわざそんな言い方をするかというと、10本じゃないボウリングがあるからだ。

 資料によると、ボウリングの歴史は少なくとも紀元前3500年前の古代エジプトまでさかのぼるらしい(紀元前5200年という説もある)。とにかく古い。あの、ストーンヘンジと同じぐらいに古くからあるわけだ。

 他にも、4世紀頃にドイツで始まったのだ、など、いくつか説がある。物を投げて何かを倒す。この破壊的行動は、人間の本能的なものらしく、まあ、いつ、どこで始まったとしても不思議ではないだろう。

 資料には、イギリスの考古学者フランダース・ペトリー卿が、子どもを埋葬していたエジプトの墓を発掘したところ、大理石のボールとピンが出て来たとある。ちょっと時代が下って、1366年にエドワード3世が、兵士があまりにもボウリングに夢中になったので禁止しただとか、ヘンリー8世の時にはイギリスで大流行していただとか、ドイツでは宗教的な儀式だったとか、宗教改革のマルチン・ルターが9ピンのボーリングを発明したとか、ボウリングの歴史は結構面白い。

 ヨーロッパに広まったボウリングは、各地でいろんなルールができたようだ。その後、9ピンボウリング(ナイン・ピンズ)はアメリカに渡る。あまりに熱狂的な流行を見せて、ついにはアメリカでも禁止令が出される。そんなこんなで、"じゃあ、10ピンなら良いだろう"とかいうわけの分からない理由で、日本でも知られる10ピン・ボウリングが始まった。と、ざっとこんな感じらしい。

 賢明な読者諸君ならお分かりだと思うが、この9ピン・ボウリングが、今日でもイギリスに残っており、先の10ピン・ボウリングと区別されているわけだ。

 辞書によると、スキトル(skittle)とは、"ビンの形をした、的になるもの"、複数形になって、"ボールを転がしてスキトルを倒すゲーム"をさす。一方、ボウリングは、9ピン・ボウリングがはやっていた頃、イギリスで流行していた芝生の上で行われるボウリング、"ローン・ボールズ"が語源だそうだ。イギリスでは、10ピン・ボウリングと区別して、9ピン・ボウリングのことを、スキトルと呼ぶ。

 さて、前置きが長くなったが(長すぎ?)イギリスでこのスキトルをやりたいと思えば、ちょっと大き目のパブに行くことになる。どこでもやっているというわけではない。カーディフではたとえば、HEATHの"THREEARCHES"などでできる。

 日本の近代的ボウリングとは随分と違う。まず、当然のごとく機械化されていない。倒れたピンは自分たちで立てる。マルチン・ルターの発明による配置、ダイヤモンド型に9本並べるわけだ(床に印が付けてある)。投げた後のボールは、レーンの横に設けられた"とい"状のものににひょいと乗せて、ころころと転がして元の場所に戻す。ボールは木製で、日本のソフトボールよりちょっと大きいぐらい。

 実際に投げてみると、ピンとピンの間隔が、投げるボールより広く、なかなか倒せない。運が悪いとピンの間をむなしく通り過ぎるだけ、となる。いわゆるストライクには、どう考えてもできそうに無い。その上、ビールを片手に、という状況のため、ゲームが進むほどに足元は怪しくなってくる。

 これがまた楽しい。

スキトル(PC用画像)


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