税金と福祉

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 日常の生活に関係するものの代表に所得税と消費税を取り上げてみる。所得税は上限40パーセントであり、消費税に当たるVAT(付加価値税)は何と17.5パーセントにも達する。

 高福祉国家とそうでない国の大きな違いの一つに税金の額の違いがある。もちろん国の違いを問わず、少なくとも個人の経済的立場からすると、税金は安いほうがいいに決まっている。一方で福祉は行き届いているに超したことはなく、税金と福祉の関係というのは難しいバランスを要求される。イギリスも例外ではなく福祉の切り捨てなどがたびたび話題となっている。高い税金を払ってでも充実した福祉を望むか、その逆かは個人的な感情でも異なるところであるが、転職するように簡単に移民するというわけにも行かない。住む国を替えられないかわいそうな国民の一人として、せめて払った税金が有効に使われていることを実感したいところである。

 ゆりかごから墓場までといわれてきたイギリスの福祉は、国力の低下から見直しが図られつつあるとは言うものの、その成熟した社会制度と言うか粋な計らいと言うか、日本から比べるとうらやましい限りである。いくつか例を挙げる。

高速道路

 何が財源になっているのかはよく知らないが、高速道路をどこまで走ってもただである。カーディフにはM4という高速道路が走っている。高速の入り口にも出口にも料金所などはない。例外はある。たとえばイングランドとウェールズを結ぶセヴァンブリッジの通行料などで、往復で800円ぐらいである。日本のうん千円という、「何とか大橋」の通行料に比べると格安である。アメリカ都市部のように細切れに何十円単位で徴収する高速道路と比べてもお国柄の違いがうかがえる。セヴァンブリッジの通行料は昔はイングランド、ウェールズの両方の入り口に料金所があったが、今はイングランドからの入り口にのみ設置されている。ウェールズからイングランドに行った人はどうせ帰りに同じ橋を通るんだからというのが理由らしい。ウェールズ人の友人によると、「ウェールズ人はイングランドにただで行くことができるけれど彼らはウェールズに来るためにビザを取らなければならない」それが800円ぐらいだと言うのである。

病院

 イギリスの病院のシステム、良いところ悪いところは別に述べるとして、無料で治療を受けられる病院においては、診察などは無料、薬などは病院では処方せんだけ書いてもらって、近くの薬局で購入することになる。入院しても薬とか食事は実費を支払うがそれ以外は(それに見合う税金を払っているということをうっかり忘れれば)無料奉仕としか映らない。よく、病院をでる時、窓口でお金を払わなくて良いという事実に何となく違和感を感じてしまう。薬局で薬を買う場合も子どものための薬であれば無料になる。無料にするためには処方せんの裏側に書いてある、"子ども用の薬なので無料にしてください"というところにチェックを入れて"確かに間違いない"という意味で買いに来た人のサインをするだけである。

VATの例外

 17.5パーセントもある付加価値税だがすべて内税になってる。「50円のリンゴを2個買いました。いくら払えばいいでしょう。」答えは105円といった意地悪ななぞなぞはない。VATはほとんどの物品の購入の際含まれるが、子どもの服、食品、紅茶などには税金がかからない。子どもは家計に余裕があろうがなかろうが年々身長が伸びる。イギリスの将来をになっていく国の宝にちんちくりんの服を着させておいたり、お金がなくて困っている人がパンを一つ買うのにその上前をはねるようなことはしないのである。ここにわざわざ紅茶も入っているのがいかにもイギリスらしい。

車の税金

 車検のシステムもいつか述べたいが、このとき日本の重量税に当たる税金も徴収される。これにも例外がある。古い車(正しい数字は忘れたが、確か15年以上といったぐらいのもの)にのるのには税金はかからない。"コレクターズアイテム"としてみなされる。何かとものを集める(他人にはごみにしか映らない場合が少なくないが)のが国民的病気であるかのごとく、多い。日本では博物館にしかないようなが高速道路を(その車なりの)全速力で突っ走っている。


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