戦勝記念日

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 イギリスに滞在していた間の四年強の間、およそ人種差別はおろか、自分が日本人であることについて何一つ不自由だったり、不愉快だったりしたことはなかったように思う。大人の国とはこう言う国のことを言うのであろうか。

 イギリスには戦勝記念日が年に2度ある。勝利を収めた側では「終戦」という言葉を使う必要はない。一つはドイツに勝利した日"V・E DAY"。"V"は勝利、"E"はヨーロッパの頭文字。もう一つは日本が降伏した"V・J DAY"。"J"は言うまでもないが日本の頭文字だ。

 95年は、日本では終戦50周年、イギリスでは戦勝50周年にあたり、たまたまその年にイギリスにいた私は、50周年の記念日に勝った側の国に居合わせることとなった。

 V・E DAY(5月8日)が近づくと、学校では戦争にまつわる行事が行われる。子どもたちの演芸会は年に何度かあるのだが、このときはソルジャー(兵士)の格好をして舞台に立つ。このときは私の子供もキャプテンス・カーレットの服を着て歌を歌っていた。

 50周年とあって大人達も楽しんだ。家のご近所同士でバーベキューをやるというものだから、ワインとちょっとしたつまみを持って参加した。イギリスのご近所づきあいと言うのもこう言うときでないと集まるということはない。お互いに不必要な干渉はしないというのが原則だ。バーベキューと言えば普通は個人の家の裏庭でやるものだが、さすがにこのときは家の近くの空き地でバーベキューをした。実際、誰の土地か分からないような空き地が至るところにある。バーベキューをやりながら、"V・E DAYはいつもこうやってお祝いするの?"と聞いてみた。"今年は特別さ。良いお天気だし、原っぱでワインとビールを飲んで楽しく過ごす、良いいいわけって奴だよ。"

 カーディフの町中にも、シティーホールの周りにかなりの大きさの移動遊園地も現れ、広場ではさまざまなショウや音楽演奏があって盛り上がった。私も家族と出かけた。職場の人もたくさん来ていて、"Keri!"と声をかけてくれた。(こう言うとき問題になるのは相手が私の名前を知っているのに、私はその人の名を覚えていないことがあるときだが。そういうときは"やあ、楽しんでる?"と答えることにしていた。)ドイツに勝ったのがひときわうれしいのかどうか、とにかくたいそうな盛り上がりであった。

 V・J DAY。この日はできるだけ外出を避けるようにと会社の通達があったので、家でじっとしていることにした。さすがにこの日はバーベキューのお誘いもなかった。


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