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 日本では水道の水を何の疑いもなく飲むこととができる。これあたりまえ。あたりまえって本当はありがたい。水道局の人、ありがとう!

 東南アジアでは、水飲んじゃいけない、コーラを飲むように、と言われた。コーラでも氷が入っていてはダメ、水道水で作った氷だから、とも。上海のホテル。蛇口を開いてしばらくは、黄色い水が出る。

 イギリスの水道水は、そのまま飲んではいけないというほどではないが、気にする人は気にするようだ。スーパーでミネラルウォーターを買って飲んだり、10ポンドぐらいの浄水器で漉して飲んだりする。日本人の中には、お米を炊くときも、買ってきたミネラルウォーターで炊く、という人もいる。

 浄水器は蛇口に直接付けるものではなく、水を水差し状の容器に入れておいて、フィルターを通った水が下の容器に溜まるという仕組みのものが多かった。

 イギリスの会社や病院には、透明で大きな飲料水のタンクを給水機の上に逆さまに取り付けていたりする。中国にも同じ物があった。こちらは水のコックとは別にお湯のコックも付いている。

 蛇口は英語で"tap"、米語で"faucet"、中国語で「水龍頭(シュイロントウ)」。水道水は英語で"tapwater"。

 イギリスの水は地域差はあるが、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水が多いと言われている。日本のスチームアイロンをイギリスで使おうとすると、すぐに目詰まりして使えない。どこまで本当かは知らないが、足が象のように太くなる病気と、イギリスの水とを関連付ける人もいる。その割りには先の浄水器は「本当にこれでろ過できてんの?」と思うぐらい早く水が落ちる。

 一方で紅茶とイギリスの硬水の相性は良く、いれた後しばらく時間が経っても渋み成分が溶けだしにくいので、ゆっくりとおいしいお茶を楽しむことができる。

 これは私の考えだが、おいしい料理やお酒は、その土地で食べたり飲んだりしてこそ、おいしく感じられるのだと思っている。イタリアでおいしいパスタを買ってきても、イギリスや日本の水では、本場の味をひき出すのは難しいのかもしれない。炊飯器を設計している人に聞いたら、この狭い日本国内でさえ、米だけでなく、水も地域によって違うので、どんな水でも同じようにおいしくご飯を炊くというのは至難のわざだという。

 イギリスでは家賃に水道代が含まれていることがある。これはひとつには水道メーターが無い家が多いからだ。ちゃんと調べたわけではないが、水道料金は家の広さなどで「えいやっ」と決めているそうだ。もうひとつの理由は、水漏れ。一説には上水道全体の3割はどこかで水漏れして消えてしまっているらしい。水漏れも直さないうちに水道メーターを付けろとは、フェアじゃない、ということでなかなかメーターが普及しない。さすがイギリスだ。

 上水道はイギリスの衛生環境を大きく改善した。それまでは、水売りという商売が有ったらしい。昔はビールが水代わりだったので、未成年の飲酒(ビール)も大目に見られていたり、今でも水よりはコーラのほうが体に良いと思われているようだ。

 話しは変わるが、お湯と区別して、温度が低い物だけを「水」と呼ぶのは日本語ぐらいだ。英語では水もお湯もウォーター。お湯はホットウォーター、沸騰していてもボイリングウォーターと呼ぶ。中国語でも「熱水」(ちょっと字が違うけれど)と書く。

 あたりまえの"水"でさえも、いろいろ違うんですね。


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