げっぽをねらえ!特別編

特別編#01 がースペシャル

がー
[gah]
ナガオカ弁ファミリーのドン的存在。とにかくあらゆる文章に折り込むことが可能。あまりの使用頻度の高さにナガオカ弁は通称「がーがー弁」と呼ばれる。

・・・というわけで『げっぽをねらえ・がースペシャル』!
ナガオカ弁は、「がー」さえなければ一瞬標準語に聞こえます。この春、ナガオカを巣立って行くワカモノたちへ送る、「がー」標準語コンバート講座。キミもなんちゃって東京人になろう!


Step1:終助詞的用法の場合

最も簡単な用法。ヘンに翻訳しようとせず、大胆に「がー」付近をカットするとよい。

ナガオカ弁標準語
それ何のがー?それ何?
どこ行くがー?どこ行く?
どうするがー?どうする?

硬派系の人は「か」にコンバートすると男らしい。

ナガオカ弁標準語
ブルータスお前もんがーブルータスお前もか


Step2:「どいがー」と「そいがー」

ナガオカではこの二語だけでかなりの会話がこと足りる。
標準語の場合、同じテキトー系語彙に「はあ」「へえ」「そう」がある。

用法ナガオカ弁標準語
あいづち;同意そいがー。はあorそう
あいづち;納得そーいがー。へえorそう
驚きどいがー!へえ!
疑問ど〜いが〜?はあ?
喜びそいがー!そう!
怒りどいがー!はあ!?
哀しみそ〜いが〜。そう...。

便利だが、こればかり使っていると心ない人と思われるので要注意。


Step3:代名詞的用法

これはハイレベル。この用法に気付いている人は市内でも少ない。
コンバート標準語は「ヤツ」。

ナガオカ弁標準語
「あのがー取ってくれ」

「どのがー?」

「そのがー」

「このがー?」

「違うて。そっちのがー」

「あのヤツ取ってくれ」

「どのヤツ?」

「そのヤツ」

「このヤツ?」

「違うよ。そっちのヤツ」

「ヤツ」に抵抗のある女性は「の」でも可である。

ナガオカ弁標準語
「あのがー取って」

「どのがー?」

「そのがー」

「このがー?」

「違うて。そっちのがー」

「あのの取って」

「どのの?」

「そのの」

「このの?」

「違うよ。そっちのの」

たまに「あののの」など、「の」の数が過剰になることがあるので
要注意。



げっぽをねらえ本編

特別編#02 日本語ジュラシックパーク

やめる
[yameru]
痛いこと。「頭がやめる」「歯がやめる」など。 「止める」「辞める」との違いは「め」のアクセント。漢字は『病める』 または『疾める』。『なんぎ』『ざいご』『いっこ』などと同様の、漢字 にするとカッコいい系。


そうなんですよ!
ナガオカ弁、漢字にすると文語調っていうのがヤケに多いんです。 このことで、シベロンブロックが細胞のカギ穴に先回りするようにスカッと答えてくれる本を見つけましたので、ご紹介します。数年前に、かなり話題になった本なので、御存知のかたも多いのでは。 『全国アホ・バカ分布考』。松本修著、新潮文庫刊。 平成5年に太田出版から出た本の文庫版です。
このステキな調査そのものは、これまた御存知のかたも多いと思い ますが、平成2年に『探偵!ナイトスクープ』で、北野誠探偵が 敢行したものですね。

前置きが長くなりましたが、その本によりますと、新潟と長野って、

『あたかも言葉の博物館のように、さまざまな古い言葉が残存する』

とのことなんです。

もうヨソでは消えたはずの言葉が、元気に生きているという、まるで ジュラシックパークのような地区。皆さんナマってるわけじゃ なくて、古典的なワケです。
本の中には、『げっぽ』に登場した言葉もいくつか登場しており ました。

ずくなし
これも『アホ・バカ』の類語で漢字は『尽無し』だそうです。 無限って意味でしょうか。限りなくバカ....。 福島県では「おんずくなし」と言うとのこと。

はつめ
『アホ・バカ』の反対語、『利口』の類語で載っていました。 語源はやっぱり『発明』! 中世のころ、なんでも漢語で言う のが流行ったとのことで、その生き残りなんだそうです。 ちなみに『利発』は『利口発明』の短縮形とのこと。『チョベ リグ』みたいなものですね....って、コレこそもう誰も使っちゃ いないって。さすがに新潟でもこういうのは保存しないらしい。

オジ
漢語ではないですが、これも載ってました。これは分布が広い! 東北、北陸、北海道の一部、そしてなぜか隠岐島。この言葉も 京都の古い言葉だそうです。『年齢に関係なく相続人以外の男の 称』で、ちょっと蔑称っぽい。

めぐさい、みぐさい
私は「目が腐る」かと思ったら、「見苦しい」のナマリだそうです。 同じ意味の、イマの標準語『みっともない』は、古語の『見たくなし』 が、「見たくない」→「みともない」と変化したものだそうです。 ナガオカって、この初期型「見たくない」とほぼ同じ「みったくない」 がまだ生きてますよね。すごすぎる。

こんなにタメになるいい本なんですが、ひとつ恐ろしいことが書いて ありました。

『古語は辺境に残る』

え……っ。



げっぽをねらえ本編


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