減価償却費を計算するには、次の要素が必要です。償却基礎価額(Depreciation base)、残存価額(Scrap value)、償却基準。
これは、固定資産の取得価額を用いるのが一般的です。
残存価額とは、固定資産がしようできなくなったときの価格です。これは、見積によって決定されます。
償却基準としては、耐用年数と利用度の二つがあります。利用度を用いるほうが合理的と言われていますが、利用度の推計は困難であり、耐用年数による方法が一般的です。耐用年数とは固定資産の使用可能期間を言います。
減価償却は、償却基礎価額から残存価額を差し引いた減価償却総額を耐用年数に応じて各期の費用として配分するものです。その計算方法は次のように分類されます。
年数法 | 定額法 | |
逓減法 | 定率法 | |
級数法 | ||
逓増法 | 償却基金法 | |
比例法 | 生産高比例法 | |
時間比例法 |
減価償却費を固定資産の耐用年数に基づいて計算する方法です。
定額法は、毎期一定額の減価償却費を計上していく方法です。算式は次の通りです。
減価賞償却費(d) = (C − S) ÷ n
なお、税法では、財務省が減価償却総額に乗ずべき数値、すなわち(1 ÷ n)の償却率が公開されていますので、上記(C − S)の額に乗じて減価償却費を計算します。
定率法は、毎期末の未償却残高に一定の率を乗じて減価償却費を計算する方法です。算式は次の通りです。
減価償却費(d) = 未償却残高(C − Σd) × 定率(r)
定率(r) = 1 − n√(S ÷ C)
なお、税法では、財務省が取得価額の10%とした場合の定率を公開していますので、定率(r)はそれを用いて減価償却費を計算します。
鉱山などで用いられる生産高比例法を除けば、税法で使われている減価償却費の計算方法は、上記の二つです。ここでは、上記二つの計算方法で使われる償却率をVBAとC/C++でプログラムしました。ただ、参考までに他の計算方法も紹介しておきましょう。
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級数法とは、算術級数を用いて計算する方法です。定率法の簡便法として考案されたものです。次の算式により各会計年度の減価償却率を求め、それを減価償却総額に乗じて毎期の減価償却費を算定する方法です。
耐用年数の算術級数総和 = D
D = n(n + 1) ÷ 2
償却基金法は、毎期一定額の減価償却費を計上すると同時に、それと同額の資金を償却基金として企業外部に投資すし、さらにそれから生ずる利息を償却基金に繰り入れると伴に、同額の減価償却費を計上する方法です。
M = ((C − S) × r) ÷ (1 + r)n − 1
Mは、償却基金繰入額。rは、利率です。
生産高比例法は、償却基準として耐用年数を用いないで固定資産の利用度を基礎として減価償却費を計算する方法です。したがって、総利用高を正確に予測する必要があります。そこで鉱山など鉱物の埋蔵量が比較的正確に予測できる場合によく用いられます。そこで使用される機械装置などについて減価償却総額を推定埋蔵量で割って減価償却費を算出し、これにその期の採掘量を乗じて毎期の減価償却額を算定します。
毎期の減価償却費 = (取得価額 − 残存価額) ÷ 予定総生産高 × 実際の生産高
精密な機械などについては、その使用時間である総運転時間は比較的正確に予測できることから、その期の運転時間に比例して減価償却費を算定する方法です。
毎期の減価償却費 = (取得価額 − 残存価額) ÷ 予定総運転時間 × 実際の運転時間
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