経理に役立つ計算式


源泉徴収税を求めるときは、通常国税庁から配布される「源泉徴収税額表」から求めます。ところが最近のコンピュータの進化により、市販ソフトも充実してきました。これらのソフトでは、どのように計算しているのでしょう。

実は、国税庁から配布される「源泉徴収税額表」には、甲欄の源泉徴収税額の求め方が紹介されています。手計算するには少々複雑ですが、プログラミングによりその複雑な計算を隠し、誰でも計算できるようになります。初めに計算の順序を、具体的な数字を交えて紹介します。

源泉徴収税額の電子計算機の特例

給与所得に対する源泉徴収税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」によって求めることになっていますが、その給与等の支払額に関する計算を電子計算機などの事務機械によって処理しているときは、月額表の甲欄を適用する給与等については、下記の別表(別表第一から別表第三)を用いて源泉徴収税額を求めることができる特例が設けられています。

源泉徴収税額の計算方法

その月の社会保険料等を控除した後の給与等の金額(A)から、別表第一により算出した給与所得控除の額並びに別表第二に掲げる配偶者控除の額、扶養控除の額及び基礎控除の額の合計額を控除した残額(課税給与所得金額(B))を、別表第三に当てはめて源泉徴収すべき税額を求めます。

平成16年4月以降分の電子計算機等を使用して源泉徴収額を計算する方法を定める財務省告示

別表第一
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額(A)給与所得控除の額
以上以下

135,41654,167
135,417149,999(A) × 40%
150,000299,999(A) × 30% + 15,000
300,000549,999(A) × 30% + 45,000
550,000833,333(A) × 30% + 100,000
833,334
(A) × 30% + 141,667

(注)給与所得控除の額に1円未満の端数があるときは、これを切り上げた額をもってその求める給与所得控除の額とします。

別表第二
配偶者控除の額31,667
扶養控除の額31,667 × 扶養親族の数
基礎控除の額31,667


別表第三
その月の課税給与所得金額(B)税額の算式
以上以下

275,000(B) × 8%
275,001658,334(B) × 16% − 22,000
658,335750,000(B) × 20% − 48,334
750,0011,500,000(B) × 30% − 123,334
1,500,001
(B) × 37% − 228,334

(注)税額に10円未満の端数があるときは、これを四捨五入した額をもってその求める税額とします。


具体的な計算例

給与支給額230,000円
通勤手当額10,000円
健康保険額9,840円
介護費用保険額0円
厚生年金16,296円
雇用保険1,694円
扶養人数0人


社会保険料控除後の課税給与は次の通りです。
230,000 − (9,840 + 0 + 16,296 + 1,694)
= 230,000 − 27,830
= 202,170(A)

上記の(A)の給与等の金額を別表第一に照らして給与所得控除額を求めます。
別表第一の「150,000から299,999」の範囲にありますので、「(A) × 30% + 15,000」で計算します。
202,170 × 0.3 + 15,000
= 60,651 + 15,000
= 75,651

配偶者控除、扶養控除及び基礎控除の額は、扶養家族の人数が「0人」ですので、別表第二より基礎控除の「31,667円」だけです。

ここで、課税給与所得金額(B)を計算します。
(A) − (給与所得控除額 + 基礎控除等の金額)
202,170 − (75,651 + 31,667)
=94,852

計算された(B)の金額を別表第三に照らして税額を求めます。
別表第三の「275,000以下」の範囲にありますので、「(B) × 8%」で計算します。
94,852 × 0.08
=7,588.16
10円未満の端数は、四捨五入しますので、「7,590円」が全額となります。


乙欄の源泉徴収税額の計算方法

乙欄、つまり「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない者の源泉徴収税額です。乙欄の源泉徴収税額の電子計算機による計算の特例はありませんので、源泉徴収税額表と同じテーブルをプログラムで作成しなければなりません。


賞与の源泉徴収全額の計算方法

賞与に対する源泉徴収税額の電子計算機による計算の特例はありませんので、乙欄同様源泉徴収税額表と同じテーブルをプラグラムで作成なければなりません。

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