| 給与所得控除とは |
給与所得の金額
(所得税法第28条第2項)
- 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入から給与所得控除額を控除した残額とする。
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給与所得控除額
(所得税法第28条第3項)
- 所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて次の表により計算した金額とする。
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収入金額 | 給与所得控除額 |
162.5万円以下 | 65万円 |
162.5万円を超え180万円以下 | 収入金額×40% |
180万円を超え360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円を超え660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円を超え1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超 | 収入金額×5%+170万円 |
(平成12年11月1日現在) |
事業者とサラリーマンの可処分所得の比較
- 「くろよん」、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、所得補足率を比較した割合の数値を差しています。つまり、「サラリーマン、個人事業者、農業及び漁業」の順に「9,6,4」です。サラリーマンからは、「我々は、所得をほぼ100%補足されているのに、個人事業者の所得補足率が低くて不公平だ。」との声を受けて、給与所得控除という制度ができました。
- では、給与所得控除は本当に不公平を解消するのでしょうか。所得補足率のことを考慮せず考えてみましょう。
- 年間売上1億円の個人事業者がおります。しかし、必要経費に9千万円かかりました。差し引き手にした収入金額は、1千万円です。次に年間給与額1千万円のサラリーマンがおります。両者を比較してみましょう。(健康保険及び年金等は同額と仮定します。)
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項目 | 個人事業者 | サラリーマン |
家族構成 | 妻1人子2人(特定扶養0人) | 妻1人子2人(特定扶養0人) |
妻の収入 | 専従者として90万円(9千万円の必要経費に含まれている) | パート収入90万円 |
社会保険料 | 60万円 | 60万円 |
生命保険料 | 24万円(一般) | 24万円(一般) |
雇用保険料 | 6万円(短期) | 6万円(短期) |
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項目 | 個人事業者 | サラリーマン |
収入金額 | 1,000 | 1,000 |
基礎控除 | 38 | 38 |
扶養控除 | 76 | 76 |
配偶者控除 | 0 | 38 |
配偶者特別控除 | 0 | 13 |
社会保険料控除 | 60 | 60 |
生命保険料控除 | 5 | 5 |
損害保険料控除 | 0.3 | 0.3 |
給与所得控除 | 0 | 220 |
合計 | 179.3 | 450.3 |
差引課税所得 | 820.7 | 549.7 |
所得税額 | 131.14 | 76.94 |
(単位:万円) |
給与所得控除額は、よく「サラリーマンの必要経費」と言われます。しかし、個人事業者の必要経費控除後の金額とサラリーマンの年間収入が同額の場合、同じ納税額でなければならないはずの税金に差が生じます。
個人事業者がサラリーマンの給与所得控除と同様の効果を求めて、家計費を必要経費に算入することは認められません。そのほとんどすべてを家計費に費やしている収入から、給与所得控除をサラリーマンにだけに認めているのは、不公平でないでしょうか。それとも政府及び大蔵省・国税庁は、家計費の必要経費算入を助長しているのでしょうか。
そうではありません。
せっかく税法で、このような不公平が認められているのであれば、それを最大限に利用して節税を図るべきと思います。
では、法人成りし自らも給与所得者となった場合、その扱いはどうなるでしょう。
給与所得者であるので、給与所得控除の恩恵を受けることができます。さらに、自分の配偶者への給与は、法人組織、個人組織の違いによりその扱いが大きく違います。法人組織の場合は、一定金額以下であれば、配偶者控除及び配偶者特別控除を受けることができますが、個人組織の場合は、同じように自分の事業から給与を支給しているにも係らず、そのどちらの控除も受けることができません。
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- 事業所得と給与所得
- 給与所得控除とは
- 配偶者控除と配偶者特別控除
- 法人の種類
- 合資会社の設立方法(工事中)
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