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その他の改正

株式譲渡請求権の行使があった場合の所得の計算(新設)

制度の内容

内国法人が自社株方式によりその役員又は使用人に株式譲渡請求権を付与してこれらの者に権利行使価額で自己株を譲渡した場合には、その譲渡は正常な取引条件でされたものとすることが明らかにされました。ただし、その権利行使価額が権利付与日の自己株式の時価を下回っている場合には、その差額が権利付与日の属する事業年度においてその役員又は使用人に対して支払った給与の額であるとしたときに役員賞与や過大報酬等となって損金不算入となる金額に相当する金額を権利行使日の属する事業年度の所得の金額に加算することとなる旨の規定が設けられました。

適用関係

平成10年4月1日以後に行う自己株式の譲渡について適用されることとされます。



先物外国為替契約により円換算額が確定している場合の特例

改正の内容
  1. 期末換算方法として期末時換算法を採っている短期外貨建債権債務で先物外国為替契約により円換算額が確定しているものについても長期外貨建債権債務の場合と同様に、その円換算額をもって期末の円換算額とすることとされました。
  2. 期末換算短期外貨建債権債務で先物外国為替契約により円換算額が確定しているものの為替予約差額については、原則としてその先物外国為替契約締結の日(その日が期末換算短期外貨建債権債務の取得の日又は発生の日前である場合には、その取得日又は発生の日)の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することになりますが、次の場合は、その事業年度の益金の額又は損金の額に算入することも認められます。


期末換算短期外貨建債権債務の取得又は発生の時が先物外国為替契約の締結の時よりも早い場合期末換算外貨建債権債務の取得又は発生の時の外国為替相場による円換算額と先物外国為替契約の締結の時の外国為替相場による円換算額の差額先物外国為替契約を締結した日の属する事業年度
先物外国為替契約を締結した時の外国為替相場による円換算額と先物外国為替契約による円換算額の差額(直先差額)先物外国為替契約うぃ締結した日の属する事業年度から期末換算短期外貨建債権債務の支払日の属する事業年度までの各事業年度
先物外国為替契約の締結の時が期末換算短期債権債務の取得の日又は発生の時より早い場合期末換算短期外貨建債権債務の取得又は発生の時の外国為替相場による円換算額と先物外国為替契約による円換算額の差額(直先差額)期末換算短期外貨建債権債務の取得又は発生の日の属する事業年度からその支払いの日の属する事業年度までの各事業年度


適用関係

平成10年4月1日以後に締結する先物外国為替契約により円換算額が確定する外貨建債権債務について適用し、同日前に締結する先物外国為替契約により円換算額が確定している外貨建債権債務については従前の通り。



退職年金等積立金に対する特別法人税

改正の内容
  1. 平成9年3月の政令改正等により厚生年金基金及び適格退職年金の予定利率の弾力化及び過去勤務債務の償却期間の短縮が行われたことに伴い、厚生年金基金及び特例適格退職年金に係わる退職年金等積立金の額の計算規定の整備が行われています。
  2. 基準利率が年2.3%に引き下げられました。
適用関係

平成10年4月1日以後に開始する事業年度の退職年金等積立金に対する法人税について適用されます。



公益法人等

改正の内容

公益法人等に該当する農業協同組合連合会の事業要件が緩和され、老人の福祉に関する事業を医療事業と併せて行うことができることとされました。

適用関係

平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。



ほ脱罪

改正の内容

法人税のほ脱犯の対象となる法人税額の範囲が、所得税額控除の規定及び外国税額控除の規定を適用しないで計算した法人税の額とされました。

適用関係

平成10年4月1日以後にする違反行為について適用し、同日前にした違反行為については、なお従前の例によることとされています。



守秘義務違反

改正の内容

税務署員の守秘義務違反に係わる罰金刑について、3万円から30万円に引き上げられました。

適用関係

改正の適用関係は明文の規定は設けられていませんが、憲法38条刑罰不遡及の原則より、平成10年4月1日以後にされた行為について改正後の規定が適用されます。

平成10年度税制改正