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特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税
- 対象となる特定上場株式等の範囲等
この非課税の特例の対象となる「特定上場株式等」は、上場株式等でその者が平成13年11月30日から平成14年12月31日までの期間内に購入し又は払い込みにより取得したものをいいます。
- 上場株式等の範囲
上記の「上場株式等」とは、個人の株式等譲渡益課税の対象となる株式等のうち、(1)証券取引所に上場されている株式等、(2)店頭売買登録銘柄の株式等、(3)店頭転換社債型新株予約権社債、(4)店頭管理銘柄株式等、(5)証券業協会に登録された日本銀行出資証券、(6)外国有価証券市場において売買されている株式等。
- 購入又は払い込みによる取得の範囲
特例の適用つなる「購入又は払い込みによる取得」には、通常の購入又は払い込みによる取得のほか、新株予約権付社債のその新株予約権の行使又は従来転換社債のその転換権の行使による株式又は出資の取得も含まれます。ただし、次に掲げる株式等の取得は、対象となる取得に含まれません。
- 特定新株予約権等(いわゆる税制適格ストック・オプション)をストック・オプション税制の適用を受けて行使して特定新株予約権等の行使に係る上場株式等の取得
- 商法第280条の2第2項の規定による株主総会の特別決議が必要とされる新株の発行がされた場合におけるその新株の発行に係る払い込みによる上場株式等の取得
- 有利な発行価額で上場株式等の発行がされた場合におけるその発行に係る払い込みによる上場株式等の取得
- 上場株式等の購入又は払い込みによる取得に際し、証券業者等が作成する取引報告書などその取得の対価の額を証する書類の交付がない場合のその購入又は払い込みによるその上場株式等の取得
- 平成13年11月30日から平成14年12月31日までの期間内に取得した上場株式等に該当するかの判定
- 判定の原則
原則として、次に掲げる場合の区分に応じて判断する
- 平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に上場株式等の譲渡(以下「特定譲渡」)の前に、その特定譲渡をした上場株式等と同一銘柄の上場株式等で特定取得がされたもの(以下「特定取得株式等」)以外の同一銘柄株式等の取得がない場合
その居住者等がその取得日から引き続き所有していたその特定取得株式等
- その特定譲渡の前に、同一銘柄株式等で特定取得株式等以外の株式等(以下「他の取得株式等」)の取得がある場合
その居住者等が特定取得株式等及び他の取得株式等のうち、先に取得したものから順次譲渡をしたものとした場合にその特定譲渡をしたものとされる上場株式等の取得日が平成14年12月31日以前であるときのその上場株式等
- 取得後に株式分割等があった場合の取扱い
居住者等の有する上場株式等について、次に掲げる事由が生じた場合には、これらの事由により取得した上場株式等(以下「取得上場株式等」)については、その居住者等が引き続き所有していたものとみなされ、その取得上場株式等の取得の基因となった次に掲げる区分に応じ、それぞれ次ぎに定める日をその取得上場株式等の取得日として判定します。
- 株式の分割又は合併
その株式の分割又は合併により取得した上場株式等のその取得の基因となった株式等の取得日
- 法人の株主等のその法人の合併によ合併法人株式の取得
その法人の合併により取得したその合併法人株式のその取得の基因となった被合併法人の株式の取得日
- 法人の株主等のその法人の分割による分割承継法人の株式の取得
その法人の分割により取得した分割承継法人」の株式・出資のその取得の基因となった分割法人の株式・出資のうちその分割承継法人の株式・出資に対応する部分の取得日
- 対象となる「一定の譲渡」の範囲
この対象となる「譲渡」は、次ぎのいずれかに該当するもの
- 証券業者又は銀行への売り委託により行う特定上場株式等の譲渡
- 証券業者に対する特定上場株式等の譲渡
- 租税特別措置法第37条の10第4項、第5項に規定する事由により特定上場株式等についての権利の移転又は消滅
- 特定上場株式等を発行した法人に対する買取請求に基づいて行う端株又は1単元の株式の数に満たない数の株式の譲渡
- 取得対価の額の意義
「取得対価の額」とは、取得期間内に特定取得をした上場株式等についての取得対価の額をいいます。なお、取得の際に支払った委託手数料等は、この取得対価の額に含まれません。
- 上記Aの「株式の分割又は合併」
(旧株に係る購入代価又は払い込んだ金額の1株当たりの金額 × 旧株の数) ÷ 株式の分割又は合併後の所有株数
- 上記Aの「法人の株主等のその法人の合併によ合併法人株式の取得」
旧株に係る購入代価又は払い込んだ金額の1株当たりの金額 悪 (取得した合併法人株式の数 ÷ 旧株の数)
- 上記Aの「法人の株主等のその法人の分割による分割承継法人の株式の取得」
旧株に係る購入代価又は払い込んだ金額の1株当たりの金額 × 純資産移転割合 ÷ 取得した分割承継法人の株式の数
- 上場株式等を発行した法人について分割型分割があった場合における居住者等が当該分割型分割の前から引き続き所有している分割法人の株式
旧株に係る購入代価又は払い込んだ金額の1株当たりの金額 − (旧株に係る購入代価又は払い込んだ金額の1株当たりの金額 × 純資産移転割合)
- 取得の対価の額の合計額の「1,000万円」要件の判定方法
この場合の「1,000万円」の要件の判定については、その年の前年又は前々年において譲渡をした特定上場株式等につき特定上場株式等非課税適用選択申告書が提出されている場合には、この1,000万円は、1,000万円からこの特例の適用を受けるものとしてその前年又は前々年の特定上場株式等非課税適用選択申告書に記載された特定上場株式等の取得対価の額の合計額を控除した残額とする。
- 適用を受けるための手続き
この非課税の規定の適用を受けるためには、この制度を受けようとする特定上場株式等の取得対価の額を証する書類の添付がある特定上場株式等非課税適用選択申告書を提出必要があります。
- 特定上場株式等非課税適用選択申告書の提出先と提出期限
- その年分の所得税につき確定申告書を提出すべき場合又は提出する場合
- 確定申告書を提出する納税地の所轄税務署に提出
- 確定申告書を提出期限まで(還付申告書の場合は翌年の3月15日まで)
- その他の場合
- 非課税の適用を受けようとする者の住所地の所轄税務署に提出
- その年の1月1日から3月15日まで
- 居住者が上記@の3月15日までに死亡した場合は、その相続人がその相続開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した前日まで
- 特定上場株式等非課税適用選択申告書の株式等及びその添付書類
- 特定上場株式等非課税適用選択申告書の記載事項及び様式
別表第七(三)で様式が決められています。
- 特定上場株式等の取得対価の額を証する書類
特定上場株式等非課税適用選択申告には、特定上場株式等の取得対価の額を証する書類を添付する必要があります。
なお、特定上場株式等非課税適用選択申告書は、原則同一年に何度も提出することはできません。
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株式等の係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額がある場合等の通算の順序等の改正
譲渡区分 | 内容 | (1)百万円控除 | (2)1/2課税 | (3)軽減税率 | (4)暫定税率 |
譲渡所得 | 公開 | 新株公開株式等に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例又は特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例の適用がある株式等の譲渡による譲渡所得 | あり | (あり)(4)の適用の場合不可 | (あり) | あり |
一般長期所有上場特定 | 長期所有上場株式等(措置法37の10(6)(上記の「公開」に該当するものを除く)) | あり | − | (あり) | あり |
一般長期所有上場 | 長期所有上場株式等(措置法37の11(2)(上記の「公開」及び「一般長期所有上場特定」に該当するものを除く)) | − | − | (あり) | あり |
一般上場 | 上場株式等(措置法37の11(1)(上記「公開」、「一般長期所有特定」及び「一般長期上場」に該当するものを除く)) | − | − | あり | − |
一般 | 株式等の譲渡による譲渡所得(上記「公開」、「一般長期所有特定」、「一般長期上場」及び「一般上場」に該当するものを除く) | − | − | − | − |
事業所得又は雑所得 | 公開 | 新株公開株式等に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例又は特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例の適用がある株式等の譲渡による譲渡所得 | − |
(あり)(4)の適用の場合不可
| (あり) | あり |
一般長期所有上場 | 長期所有上場株式等(措置法37の11(2)(上記の「公開」に該当するものを除く)) | − | − | (あり) | あり |
一般上場 | 上場株式等(措置法37の11(1)(上記「公開」及び「一般長期上場」に該当するものを除く)) | − | − | あり | − |
一般 | 株式等の譲渡による譲渡所得(上記「公開」、「一般長期上場」及び「一般上場」に該当するものを除く) | − | − | − | − |
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額の控除順序
上記の表の所得種類ごとに譲渡区分に応じて、他の株式等に係る譲渡所得等の金額から次ぎのa、bの要領で控除する。
- 損失金額を控除する際の順序
まず、譲渡所得、事業所得又は雑所得のそれぞれの所得種類ごとに、その所得種類のうち損失が生じた譲渡区分の損失金額を同じ所得種類の他の譲渡区分の所得から順次控除(@参照)し、次に、これらの所得種類のいずれかに、なお控除しきれない損失金額がある場合は、その損失を他の所得種類の所得の金額から順次控除します。
- 同一の所得種類内の譲渡区分間の控除(所得内通算)
譲渡所得の場合の所得内通算
損失の区分 | 他の譲渡区分の所得からの控除 |
公開 | 一般長期所有上場特定 | 一般長期所有上場 | 一般上場 | 一般 |
公開分の損失 | − | 1 | 2 | 3 | 4 |
一般長期所有上場特定分の損失 | 1 | − | 2 | 3 | 4 |
一般長期所有上場分の損失 | 1 | 2 | − | 3 | 4 |
一般上場分の損失 | 1 | 2 | 3 | − | 4 |
一般分の損失 | 1 | 2 | 3 | 4 | − |
事業所得又は雑所得の場合の所得内通算
損失の区分 | 他の譲渡区分の所得からの控除順序 |
公開 | 一般長期所有上場 | 一般上場 | 一般 |
公開分の損失 | − | 1 | 2 | 3 |
一般長期所有上場分の損失 | 1 | − | 2 | 3 |
一般上場分の損失 | 1 | 2 | − | 3 |
一般分の損失 | 1 | 2 | 3 | − |
- 他の所得種類の所得からの控除(所得間通算)
- 事業所得の損失は次ぎの所得金額から順次控除
- 譲渡所得のうち公開分の所得金額
- 雑所得のうち公開分の所得金額
- 譲渡所得のうち一般長期所有上場特定分の所得金額
- 譲渡所得及び雑所得のうち一般長期所有上場分の所得金額
- 譲渡所得及び雑所得のうち一般上場分の所得金額
- 譲渡所得及び雑所得のうち一般分の所得金額
- 譲渡所得の損失は次ぎのものから順次控除
- 事業所得及び雑所得のうち公開分の所得金額の合計額
- 事業所得及び雑所得のうち一般長期所有上場分の所得金額の合計額
- 事業所得及び雑所得のうち一般上場分の所得金額の合計額
- 事業所得及び雑所得のうち一般分の所得金額の合計額
- 雑所得の損失は、次ぎのものから順次控除
- 譲渡所得のうち公開分の所得金額
- 事業所得のうち公開分の所得金額
- 譲渡所得のうち一般長期所有上場特定分の所得金額
- 事業所得及び譲渡所得のうち一般長期所有上場分の所得金額
- 事業所得及び譲渡所得のうち一般上場分の所得金額
- 事業所得及び譲渡所得のうち一般分の所得金額
- 100万円特別控除の順序
上記1の損失金額を控除した後に100万円特別控除の適用対象となる譲渡所得の金額があるときは、100万円を次ぎの所得金額から順次控除する。
- 上記1の公開分の譲渡所得の金額
- 上記1の一般長期所有上場特定分の譲渡所得の金額
- 公開特定株式の譲渡による譲渡所得等がある場合の特例の適用
上記「公開」分の譲渡所得等のうち、公開特定株式の譲渡によるもの(4分の1課税対象所得)とそれ以外のもの(2分の1課税対象所得)とがある場合、上記1のaの順序による通算後の「公開」分の譲渡所得等の金額は、公開特定株式の譲渡によるものが優先して残されているものとしてそれぞれの特例が適用されます。
- 譲渡損失の繰越控除の順序
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除は、それぞれ次による。なお、上場株式等に係る譲渡損失の金額と特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の金額のいずれもがある場合には、これらの損失金額のうち納税者の選択したものから先に控除する。
- 控除する譲渡損失の金額が前年以前3年内の2以上の年に生じたものであるときは、これらの年のうち最も古い年に生じた譲渡損失の金額から順次控除します。
- 前年以前3年内の一の年において生じた譲渡損失の金額の控除をする場合において、その年分の「株式等に係る譲渡所得等の金額」又は「長期所有上場株式等に係る譲渡所得等の金額」があるときは、その譲渡損失の金額は、次に掲げる金額から次ぎの順序で控除する。
- 株式等に係る譲渡所得等金額から上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び長期所有上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額を控除した残額
- 上場株式等に係る譲渡所得等の金額
- 長期い所有上場株式等に係る譲渡所得等の金額
- 雑損失の繰越控除を行う場合には、まず、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除を行った後、雑損失の繰越控除を行います。
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