北海道新聞:平成11年12月27日(月)

滝上町の住宅建設補助金
非課税制度に6年間課税

北海道網走管内滝上町が支給した、本来非課税の住宅補助金が6年間にわたり課税され、今月還付手続きが取られたことが、26日までに分かった。同町によると、紋別税務署の誤った指導が原因で、還付額は町民44人分の所得税、住民税など計88万円余り。紋別税務署は同様の補助を行っている同網走管内の他町村には当初から課税しておらず、滝上町側は「わが町に対する指導ミスだったのは明らかなのに、なぜ分かった時点で連絡してくれなかったのか」と批判する。

しかし、紋別税務署は「あくまで申告者の錯誤」とミスを認めない姿勢だ

滝上町によると、この補助金は住民の永住対策のため、町内に住宅を建てる場合、一人当たり百万円を支給している。1991年度に導入したが1993年春、紋別税務署に問い合わせたところ、口頭で「補助金は一時所得として所得に算入する」との指導を受けた。このため、1993年度から今年春まで住民など一人当たり約2万円徴収してきた。

ところが、今年3月、住民が紋別税務署に照会した結果、この種の補助金は所得税法42条で本来、所得に算入されないことが分かり、滝上町も10月、紋別税務署の文書で確認した。

同様の補助制度は、紋別税務署が管轄する同網走管内西興部、白滝、丸瀬布の町村でも1991年度から導入しており、いずれも当初から非課税。同網走管内の雄武町も1996年に採用したが「当時の紋別税務署との事前協議で、補助金は所得に算入しないという回答を得た」(税財課)。

しかし、こうした他町村の例がありながら、紋別税務署からは滝上町に何の連絡もなかったという。

滝上町は紋別税務署の当時の担当者が間違った見解を伝えたとみているが、同町は26日までに、誤って徴収した1993年から1996年分の住民税などに、利息相当分を付けて還付する手続きをとった。

紋別税務署も所得税の還付手続きを終えたが、過大徴収分の還付は5年で時効になるため(国税通則法)、1993年度に過大徴収された13人の所得については返還されない。この問題は先の滝上町議会でも取り上げられ、「還付金や事務処理に要した費用を紋別税務署に請求すべき」との意見が出た。町は「ひどい話だ。誤りを認めないのはおかしい」(総務課)と紋別税務署の対応に憤っている

これに対し、紋別税務署の山口進総務課長は「当時の担当者と町の間で、どういうやりとりがあったか,記録がない。町の照会を受け、あくまで申告者の錯誤と理解して還付した」と言っている。

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