札幌国税局管轄内の税務署の幹部(統括以上と思われる)が自分の知っている個人情報を知り合いの不動産業者に漏らした。国家公務員、地方公務員の区別なく守秘義務があります。その義務は、まったく蔑ろにされている。本来公務員の使命は、国民主権者の生命、財産を守ることである。それなのにこの行為は、国民主権者に対する背任行為に他ならない。それにも係わらず、統括する札幌国税局は「金銭の受け渡しがない。」として戒告(「オイ、注意しろよ。」と口頭で言う程度)処分にした。悲しいことだが、もはや志を持った公務員が皆無と言えよう。

北海道で報道されたニュースの一部を紹介します。

北海道内のある税務署の幹部が知り合いの業者らに情報提供。ただし、処分は最も軽い戒告(2003/5/8)


北海道内のある税務署幹部職員(統括以上と思われる)が、ある納税者が多額の税金滞納を解消するために自分が所有する土地を売却しようと検討していることを職務で知り、知り合いの不動産業者にこの情報を流した。同幹部職員は、知り合いの不動産業者にこの物件を紹介したり、所有者が延滞している税額などの個人情報を他の関係者にも教えるなどの便宜を図っていたことが、5月7日分かった。同局は、国家公務員法に基づきこの職員を最も軽い戒告処分で済ませた。

同局の内部調査によると、同幹部職員は2002年、知り合いの不動産業者に、多額の税金を滞納したため土地所有者が土地売却を検討中だった不動産物件を紹介するだけでなく、この土地の権利関係情報も、同不動産業者に流すなどの多大な便宜を図った。

さらに幹部職員は、この土地所有者と取引関係にある業者からの問い合わせに対し、土地所有者が延滞している税額を教えた。

幹部職員がこれらの者に漏らした情報は、いずれも職務上で知り得たもので、守秘義務がある。

副署長以上の決裁が義務づけられている重要事案について、この幹部職員は上司の決裁を受けずに勝手に不法な対応をしていたことが発覚した。そもそも職務上知り得た情報には、すべて守秘義務がある。不審に思った同局が調査して、これらの不正が判明した。

同局は、同幹部を国家公務員法第100条(守秘義務)と同99条(信用失墜行為の禁止)に違反したとして処分した。

同局の伊東和範広報広聴室長は「公正性を疑われるだらしない行為だった」と事実を全面的に認めた。しかし、幹部職員と、便宜を受けた不動産業者などとの関係については「内部調査で金銭授受などは確認できなかった」として戒告処分に止めた。本当に金銭授受がなかったのか、大変疑わしい。なお、同職員は現在も幹部職員として勤務している。