2000年2月20日(国税調査官)
業種
決算期
指摘事項
対象
損害保険代理業
5月
棚卸資産の計上額
法人税


未着商品



決算時の棚卸資産の評価は、毎回のことながら大変な作業が伴います。最近では、コンピュータの導入が進み、実地棚卸しをしない事業所もあるようです。しかし、減耗損など帳簿棚卸しと実地棚卸しには、少なからず差が生じます。




5月決算法人の調査。電話が掛かってきたとき、
事務所:「何か問題がありました。」との問いに、
調査員:「特にありません。行ってから探します。」

しばらく、やりとりがあった後。
調査員:「問題があります。」

調査当日。
事務所:「どのような問題があったのか、お知らせ下さい。その箇所を重点的に調べればよいのでしょうから。」
調査員:「内部的なことなので、言えません。」

「言えない。」理由は、内部的なことからでなく、特に問題はなく調査を実施して間違いを探そうとしたからと推測されます。
それは、行われた調査の手順からも明らかです。3日間に及び行われた調査は、マニュアル通りです。




通常、特に問題のない事業所を調査する場合、次のような手順で作業が進められます。

決算日前後、約3ヶ月間の売上仕入と商品の出納。つまり、5月決算法人の場合、決算が終了した事業年度の3から5月と現在進行している事業年度の6から8月の売上仕入と商品のお出納を調べます。

その中から不正を探そうとする訳です。




今回の調査では、経理事務員のコンピュータのオペレートミス(商品は入力してあったが、金額が未入力の状態)によるものと、未着商品が期末在庫価額に含まれていませんでした。

今回は、棚卸資産の評価方法を最終仕入原価法により行っていましたが、低価法を採用している時の未着商品の期末評価は注意が必要です。

結局、当期否認、翌期認容です。いつまで、このような調査を続ければよいのでしょう。そうまでして、自分の営業成績を上げたいのだろうか。それとも、ノルマが厳しいのだろうか。



進行年度の決算日が近づいたある日、統括官から電話がありました。
電話の内容は、「社長お願いしたいことがあるので、お会いしたい。」と言うものでした。社長に対するお願いごとは、「自主修正申告の依頼」でした。

調査が行われてから3ヶ月が経っています。何故、自主修正申告に拘るのでしょう。調査の最中、税務代理の権限を証する届出書を提出しているにも係らず、調査員から「直接、社長と交渉したい。」との発言がありました。国税局にクレームを付けたのは言うまでもない。



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