2011年01月27日(国税調査官)
業種
決算月
指摘事項
対象
農業
1
減価償却超過額
法人税


進行年度の決算日は4日後と迫った時期に、税務調査が行われました。急いで調査しなければならない理由は、特に無い。

農業や漁業が基幹産業の町や村では、彼らの税務申告を取りまとめて所轄税務署への提出を代行している場合があります。この場合、中には国税が発生しないとき、所轄税務署に申告書を提出しない町村役場もあります。ただ、このようなことは各町村が勝手に行っているのではなく、所轄税務署と協議の上行われていることがほとんどです。

臨時アルバイトなど自社で年末調整を行わない者に対する源泉所得税は、「源泉徴収税額表」の乙欄に照らて求めます。農家の繁忙期には、さまざまな方面から人手を集めます。中には自分が中心になって人を集め、農家へ派遣させている人もいます。このように誰かが取りまとめて送られてくる人員を除いて、そのほとんどが直接雇うアルバイドです。この方々の源泉所得税は、先の通り乙欄で控除しなければなりません。当該法人は、その控除をしていませんでした。その理由は、全員町内の元農家であった人たちのアルバイトで、町を通じて税務申告をしていることが分かっていたからです。そうは言っても、原則は乙欄で控除しなければなりません。

税務調査のとき、その点を指摘されました。また、調査員は「税務申告書が出ていない。」と主張し、強引に修正を迫ってきました。調査実施後に「扶養家族などできるだけ拾って税金を安くするので、追徴の書類を送っていいか。」と事務所に連絡してきました。

法人の所在地の町は国税が発生しない場合、所轄税務署に税務申告書を送らないことにしていました。これでは調査員が、いくら税務署のコンピュータの資料をひっくり返しても、税務申告の実績はないこととしか出てきません。この調査員は自分の成績を上げたいため、一面的な調査だけで税務申告書の提出がないと判断して、修正を迫ってきました。


農家の個別補償。どこかの政党のマニフェストに記されていますね。このような個別補償の前から、農家にはさまざまな補助があります。害獣対策もその一つです。以前、圧縮記帳について法人から質問を受けたことがあります。そのときは、圧縮記帳の簡単な仕組みを説明しました。

害獣対策の施設の建設は国の補助事業の場合が多く、今回も補助を受けて施設を建設しました。「国庫補助金等により取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入」に該当します。法人は、取得した固定資産を全額経費で計上し、受け取った補助金を全額収入に計上して、それで圧縮記帳は済んだと判断していました。これでは、圧縮記帳の手続きが正しく行われていません。ただ今回は、圧縮記帳の手続きを正しく行ったときと、収益・費用の両方を全額計上した今回の経理処理でも所得金額は同じです。

当然圧縮記帳の手続きが正しく行われていないので、調査員がいちゃもんをつけてくるのは必至です。ただ今回は、本来固定資産に計上しなければならない事象ではなく、手続きの誤りであって所得金額に増減がないのであれば、「次からは、正しくやりましょう。」と指導でよいと思いますが、そうなると調査員の成績にならない。

強制調査と違って通常の税務調査は、調査員の成績のために行われていると言って、過言ではない。



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