広告宣伝用資産と受贈益


メーカーの代理店や特約店となっている場合、よくメーカーからいろいろな宣材が送られてきます。そのほとんどが、のぼりやチラシなどの消耗品です。では、それらの動産でなく、不動産を取得した場合はどうなるでしょう。

広告宣伝用資産等の受贈益(基本通達4-2-1)


販売業者等が製造業者等から資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、緞帳のように専ら宣伝広告用に供されるものを除く)を無償又は製造業者等の当該資産の取得価額に満たない価額により取得した場合には、当該取得価額又は当該取得価額から製造業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額を経済的利益の額としてその取得の日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その取得した資産が次に掲げるような広告宣伝用のものである場合には、その経済的利益の額は、製造業者等のその資産の取得価額の3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。

  1. 自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その宣伝広告を目的としていることが明らかなもの
  2. 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
  3. 展示用モデルハウスのよに製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの


広告宣伝用資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合の準用(基本通達4-2-2)


上記の「広告宣伝用資産の受贈益」は、販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合について準用する。


計算例


特約店である販売会社Aは、各製造メーカーから次の資産を取得した。

  1. 製造メーカーBから、広告宣伝用ネオンサイン1基(製造メーカーBの取得価額は30万円)を無償で取得した。
  2. 製造メーカーCから、製造メーカーCの社名とロゴを表示した宣伝を兼ねるライトバン(製造マーカーCの取得価額は210万円)を50万円で取得した。
  3. 製造メーカーDから、普通乗用車(製造メーカーDの取得価額は500万円)を400万円で取得した。


解答

  1. 課税はありません。
  2. 210万円 × (2 ÷ 3) − 50万円 = 90万円が受贈益
  3. 500万円 − 400万円 = 100万円が受贈益


受贈益の経理処理を行っていないときの申告調整

1.特にありません。
2.次の通りです。なお、3.も2.と金額が違うだけで、他は同じです。なお、消費税の支払額は、3万円少なくなるとします。

別表四
区分総額留保
加算受贈益計上不足900,000900,000

仮払消費税42,858
減算仮払消費税42,85842,858

未払消費税30,00030,000


別表五(一)
区分期首利益処分期末
車両運搬具
-900,000-42,858
857,142
未払消費税

-30,000
-30,000


翌期に次の経理処理で受入
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
車両運搬具
仮払消費税
857,142
42,858
前期損益修正益900,000


別表四
区分総額留保
加算未払消費税償却30,00030,000

仮払消費税42,85842,858
減算受贈益償却900,000900,000

仮払消費税42,858


別表五(一)
区分期首利益処分期末
車両運搬具857,142-42,858-900,000

未収消費税-30,000-30,000




なお、減価償却費については、法人税法上任意とされているので考慮しない。


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