中古の不動産などを購入する際、以前の賃借人に立ち退き料を支払う場合があります。また、土地建物を同時に購入した後、建物を取り壊して新地にしたから新たに建物を建築する場合があります。このときの立ち退き料や取り壊しにかかった費用を、法人税法ではどのように扱っているでしょう。
土地建物を一括購入後、建物の賃借人に立ち退き料を支払って立ち退かせ、その後直ちに新しい工場を新築した。
(1) | 土地建物の購入契約金額 | 10,000,000 |
土地 建物 |
7,000,000 3,000,000 |
(2) | 立ち退き料 | 800,000 | ||
(3) | 工場新築契約金額 | 30,700,000 |
取壊し費用 建築請負代金 |
1,700,000 29,000,000 |
(4) | 取り壊した建物の廃材利用 | 1,000,000 |
新築建物に利用 売却 |
150,000 850,000 |
(5) | 取得に係わる諸費用 | 1,205,000 |
土地の所有権移転登記費用 建物の保存登記の登録免許税 土地の不動産取得税 建物の不動産取得税 購入資金(短期の借入金)に係わる利息 |
400,000 100,000 230,000 290,000 185,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 建物 |
7,000,000 3,000,000 | 現金預金 | 10,000,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
建物 | 800,000 | 現金預金 | 800,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
建物 | 30,700,000 | 現金預金 | 30,700,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 廃材 |
2,800,000 1,000,000 | 建物 | 3,800,000 |
土地 現金預金 |
150,000 850,000 | 廃材 | 1,000,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課 支払利息 |
1,020,000 185,000 | 現金預金 | 1,205,000 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 建物 租税公課 支払利息 |
9,950,000 30,700,000 1,020,000 185,000 | 現金預金 | 41,855,000 |
法人が土地、建物等の取得に際し、その土地、建物等の使用者等に支払立ち退き料その他立ち退きのために要した金額は、その土地、建物等の取得価額に算入する。(法人税法基本通達7-4-5)
法人が建物等の存する土地(借地権を含む)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内にその建物等の取り壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的が明らかであると認められるとときは、その建物等の取り壊し時における帳簿価額及び取り壊し費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額があるときは、その金額を控除した金額)は、その土地の取得価額に算入する。(法人税法基本通達7-3-6)
以下に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。(法人税法基本通達7-3-3の2)