国庫補助金等で取得した固定資産等


国庫補助金等に係る特別勘定の金額の取り崩し(法人税法43(2)、法人税法施行令81)

下記の表の左欄に該当することとなった場合には、その国庫補助金等に係る特別勘定の金額のうち、それぞれ右欄に掲げる金額を取り崩さなければならない。

これにより取り崩した特別勘定の金額は、それぞれ取り崩すこととなった日の属する事業年度の益金の額に算入します。(法人税法43(3))
1国庫補助金等について返還すべきとこ又は返還を要しないことが確定した場合その確定した国庫補助金等の額に相当する特別勘定の金額
2解散(合併による解散を除く)をした場合において、特別勘定の金額を有しているときその特別勘定の金額
3非適格合併(合併のうち適格合併を除いたものをいう)により解散した場合において、特別勘定の金額を有しているときその特別勘定の金額


特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産の圧縮額の損金算入(法人税法44(1)、法人税法施行令80、82)

上記の特別勘定を有する内国法人が国庫補助金等をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得等をし、かつ、その取得等をした日の属する事業年度以後の事業年度においてその取得等に充てた国庫補助金等の全部又は一部の返還を要しないとこが確定した場合において、その固定資産につき、その確定した日の属する事業年度終了時において、同日におけるその特別勘定の金額のうち、同日におけるその固定資産の帳簿価額に次の「1」に掲げる金額のうち「2」に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額(以下「圧縮限度額」という)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法により経理したときは、その減額又は経理した金額に相当する金額はその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
1その固定資産の取得等をするために要した金額
2その返還を要しないこととなったその国庫補助金等の額


Y:圧縮限度額
X:返還を要しないことが確定した日におけるその固定資産の帳簿価額
A:返還不要となった国庫補助金等の額
B:その固定資産の取得等をするために要した金額

Y = X × (A ÷ B)


具体的計算例

当社は、4月から3月までの1年間を事業年度としている。4月に国庫補助金10,000,000円の交付を受けて、その交付目的に合う工場12,000,000円を取得しました。このときの経理処理は、税法上認められる限度額までの金額を特別勘定として処理しました。この補助金については、翌事業年度に3,000,000円を返還しました。残りの7,000,000円については、交付を受けてから3年後の事業年度に返還を要しないことになりました。

このとき、返還を要しないこととなった直後の、この資産の帳簿価額にどのような特例が認められるか具体的に計算例を紹介します。

工場の減価償却方法
耐用年数30年
償却方法定額


補助金収入時の経理処理
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
現金預金10,000,000国庫補助金収入10,000,000
特別勘定繰入損10,000,000国庫補助金特別勘定10,000,000
建物12,000,000現金預金12,000,000


補助金返還時の経理処理

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
国庫補助金特別勘定3,000,000現金預金3,000,000


補助金を返還しなくてよくなった時の経理処理
ここまでの減価償却累計額は「1,101,600円」です。
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
国庫補助金特別勘定7,000,000特別勘定戻入益7,000,000
建物圧縮損
減価償却累計額
6,357,399
1,101,600
建物7,458,999


圧縮記帳資産の取得価額の特例(法人税法31(6)、法人税法施行例54(3))


Y:改定取得価額
X:取得価額
A:圧縮限度額
B:減価償却累計額
C:返還を要しなくなった国庫補助金の額

Y = X − (A + B × (C ÷ X))

※7,648,918円


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