下記の表の左欄に該当することとなった場合には、その国庫補助金等に係る特別勘定の金額のうち、それぞれ右欄に掲げる金額を取り崩さなければならない。
これにより取り崩した特別勘定の金額は、それぞれ取り崩すこととなった日の属する事業年度の益金の額に算入します。(法人税法43(3))
1 | 国庫補助金等について返還すべきとこ又は返還を要しないことが確定した場合 | その確定した国庫補助金等の額に相当する特別勘定の金額 |
2 | 解散(合併による解散を除く)をした場合において、特別勘定の金額を有しているとき | その特別勘定の金額 |
3 | 非適格合併(合併のうち適格合併を除いたものをいう)により解散した場合において、特別勘定の金額を有しているとき | その特別勘定の金額 |
上記の特別勘定を有する内国法人が国庫補助金等をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得等をし、かつ、その取得等をした日の属する事業年度以後の事業年度においてその取得等に充てた国庫補助金等の全部又は一部の返還を要しないとこが確定した場合において、その固定資産につき、その確定した日の属する事業年度終了時において、同日におけるその特別勘定の金額のうち、同日におけるその固定資産の帳簿価額に次の「1」に掲げる金額のうち「2」に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額(以下「圧縮限度額」という)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法により経理したときは、その減額又は経理した金額に相当する金額はその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
1 | その固定資産の取得等をするために要した金額 |
2 | その返還を要しないこととなったその国庫補助金等の額 |
当社は、4月から3月までの1年間を事業年度としている。4月に国庫補助金10,000,000円の交付を受けて、その交付目的に合う工場12,000,000円を取得しました。このときの経理処理は、税法上認められる限度額までの金額を特別勘定として処理しました。この補助金については、翌事業年度に3,000,000円を返還しました。残りの7,000,000円については、交付を受けてから3年後の事業年度に返還を要しないことになりました。
このとき、返還を要しないこととなった直後の、この資産の帳簿価額にどのような特例が認められるか具体的に計算例を紹介します。
工場の減価償却方法
耐用年数 | 30年 |
償却方法 | 定額 |
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
現金預金 | 10,000,000 | 国庫補助金収入 | 10,000,000 |
特別勘定繰入損 | 10,000,000 | 国庫補助金特別勘定 | 10,000,000 |
建物 | 12,000,000 | 現金預金 | 12,000,000 |
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
国庫補助金特別勘定 | 3,000,000 | 現金預金 | 3,000,000 |
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
国庫補助金特別勘定 | 7,000,000 | 特別勘定戻入益 | 7,000,000 |
建物圧縮損 減価償却累計額 |
6,357,399 1,101,600 | 建物 | 7,458,999 |
Y:改定取得価額
X:取得価額
A:圧縮限度額
B:減価償却累計額
C:返還を要しなくなった国庫補助金の額
Y = X − (A + B × (C ÷ X))
※7,648,918円
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